生きるチャンスをつかんだ豚、ペットとして一家の人気者になる(画像集)

ジェンキンズ氏は動物好きだった。数日後、同居人の許可も取らないまま、彼は家にエスターを連れてきた。そのころのエスターは生後6カ月くらいのミニブタで、大きくなっても体重は30キロを超えないと考えられていた。
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Derek Walter and Steve Jenkins

デレク・ウォルター氏とスティーブ・ジェンキンズ氏は、エスターという名前の豚が彼らの家に引っ越してくるまでは、ごく平凡な生活を送っていた。

ウォルター氏は不動産業者で、民族楽器「バグパイプ」の奏者でもある。一方、ジェンキンズ氏はプロのマジシャンだ。彼らの家は、カナダのトロント市から45分の郊外にある。93平方メートルの敷地には、程良い広さの庭があり、2匹の猫と2頭の救助犬を飼うには完璧な環境だ。

「僕たちはごく普通の人間で、平凡な生活を送っていた」とジェンキンズ氏は語る。しかし2012年の夏、長いこと会っていなかった高校時代の友人が突然、Facebookで連絡をとってきたのだ。

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「彼女は、ミニブタを手に入れたが、家のなかがメチャクチャになってしまったと訴えてきた。彼女自身に双子が生まれたばかりだったし、犬も1匹いた。ミニブタを手放す以外ないと思った彼女は、僕が昔から動物好きだったと思い出したんだ」

実際、ジェンキンズ氏は動物好きだった。数日後、同居人の許可も取らないまま、彼は家にエスターを連れてきた。そのころのエスターは生後6カ月くらいのミニブタで、大きくなっても体重は30キロを超えないと考えられていた。

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「でも、かかりつけの獣医に初めて連れていったところ、その話は怪しいと言い出したんだ。断尾してあって、これは商用に飼育されている普通の豚の印だと獣医は教えてくれた。僕たちはぞっとしたけど、その時点ではもうエスターが大好きになっていたんだ」

「僕たちは、もうちょっと待って、様子を見てみようと思った。でも、時間が経てば経つほど、エスターのことが大好きになった。そして残念なことに、エスターはもっと大きくなっていった」

エスターの体重は、およそ8カ月で80キロ近くになった。そして、今年の5月の時点で、体重は250キロを超えた。もう少し成長するのかどうかは二人ともよくわかっていない。

「エスターは、レスリングしたりおもちゃで遊んだりするのが大好きだ。かわいがってもらいたくなると、僕のところにやって来る。彼女はお腹をこすってもらうのが大好きなんだ」

「エスターは大型犬によく似ているが、その賢さは群を抜いている。閉まったドアや食器棚を巧みに開けてしまうほど賢いんだ」とジェンキンズ氏は説明する。「だから、食料はすべて棚の高い位置に収納し、鍵をかけている」

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居間のソファでリラックスするエスター

以下の画像は、人間が寝るキングサイズのベッドの上に乗ったエスターの様子だ。彼女は1日の大半をこの上で過ごす。しかしジェンキンズ氏によると、彼女は夜になるとこのベッドから降り、リビングルームの床にある、自分用のツインベッドに向かうのだという。

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エスターは犬たちとケンカするときもあるが、だいたいは仲良しだ。

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ジェンキンズ氏によると、2匹の犬たちはエスターを自分たちの仲間だと考えているのだという。犬の集団は順位付けが行われるものだが、エスターの順位は第2位で、1匹の犬からは食べ物を取ることはできるが、もう1匹の犬からは取れないという位置にある。

ただ、犬たちは、エスターの体重が90キロを超えた時に、彼女と一緒に遊ぶのを止めたという。ジェンキンズ氏とウォルター氏も、エスターの体重が90キロを超えた時に、彼女を車に乗せたり、通りを一緒に散歩したりするのを止めた。注意力が低下しているドライバーがエスターを見て驚愕すると危険だし、ジェンキンズ氏たちにとってもいろいろと危険になり得ると心配したためだ。

「率直に言って、もしも彼女が何かに驚いて、走り出したくなったとしたら、彼女を抑える術は僕たちにはない」とジェンキンズ氏は言う。「そのような理由で、僕たちは2013年の秋以降、彼女を散歩に連れて行かなくなった。でも、運が良ければ、すぐに農家に引っ越して、彼女と再び散歩できるだろう」

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農場への移転は、彼ら一家にとって最新のプロジェクトだ。ウォルター氏とジェンキンズ氏は「The Esther Effect Farm Animal Sanctuary(エスター効果による農園・動物サンクチュアリ)」という事業を展開しており、現在17万4000平方メートルの土地を購入するための資金を集めているのだ。

資金調達サイト「Indiegogo」でのキャンペーンにおいて、彼らは現在までに、目標40万カナダドル(約3800万円)のうち49%を集めている(締め切りは6月30日で、あと13日ある。以下はIndiegogoに掲載されている説明動画で、小さい頃のエスターも見ることができる)。

ジェンキンズ氏は彼らのプロジェクトについて、「虐待を受けたり、放棄されたりしている商用家畜に暖かいホームを提供し、我々が考える彼らにふさわしい生活を与えたい」と説明している。

2人は、2年前まではベーコンをよく食べていたが、エスターから刺激を受けた結果、肉を食べるのを止め、動物福祉の提唱者となったのだ。彼らのFacebookページ『Esther the Wonder Pig』(エスター・ザ・ワンダーピッグ)では、入浴するエスターなど日常生活の様子を収めた動画が紹介されているほか、動物福祉の提唱とともに、「エスターに認可された」ベジタリアン・レシピも掲載されており、約14万の「いいね!」を獲得している。

現地には、彼ら一家全員(人間2人とエスターと犬2匹、そして猫2匹)が住むための家がすでにある。そして資金が無事集まれば、同農場に訪れる人たちは、ハイキングやクロスカントリースキーを楽しめるほか、ベジタリアン向けの店でショッピングもできるようになるだろう。そして、エスターやほかの動物たちと交流しながら、ひとりでも多くの人の考え方が変わることが目指されている。

「僕たちがいなかったら、エスターは、ベーコンのパッケージか、ポークの枝肉になっていただろう。でも、彼女は生きるチャンスを得た」と、ジェンキンズ氏は語る。「エスターは、工場のような農場でひどい生活を死ぬまで続ける、ほかの豚たちとまったく変わらない。僕たちは、彼女を知った人々が大好きになってしまうその性格と、素敵なその笑顔を、世界に知ってもらうチャンスを彼女に提供しただけなんだ」

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[Arin Greenwood(English) 日本語版:丸山佳伸、合原弘子/ガリレオ]

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