東京電力福島第1原発事故で福島県郡山市から京都市に自主避難した40代男性とその家族5人が、避難生活で休業を余儀なくされ、男性が心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症して働けなくなったなどとして、東電を相手取り計約1億8000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が2月18日、京都地裁であった。三木昌之裁判長は請求を一部認め、計約3000万円の支払いを命じた。朝日新聞デジタルなどが報じた。
東電や国に対する訴訟を支援している「原発事故全国弁護団連絡会」によると、避難者らが起こした集団訴訟は福島や東京、大阪など全国21地裁・支部(原告約1万人)で続いているが、自主避難者への賠償が裁判で認められたのは把握する限り初めてという。
判決によると、男性は2011年3月の事故当時、福島県内に家族と住み、飲食店運営会社を経営。自宅は避難指示区域の外側で、東電がのちに賠償対象とする自主避難区域にあった。男性は事故数日後に家族を連れ県外へ避難し、ホテルなどを転々とした末に同5月から京都市のマンションへ。そのころから不眠や心身の不調の症状が現れた。
(福島から自主避難、東電に3千万円賠償命じる 地裁判決:朝日新聞デジタルより 2016/02/18 16:11)
NHKニュースによると、三木裁判長は「原発事故は未曽有の事態であり、危険性に関する情報が十分に明らかになっていなかった間、自主避難を続けたことには合理性がある」と指摘。そのうえで、「住み慣れた福島県から転居を余儀なくされ、相当強いストレスを受けたことが、体調の悪化につながった」などとして、東電の責任を認めた。一方、東電は「判決の内容を精査したうえで、引き続き真摯に対応する」と答えた。
認容額は、原子力損害賠償紛争解決センターの裁判外紛争解決手続き(ADR)で提示されていた約1100万円を上回った。共同通信によると、原告側は「ADRでの提示額に納得いかなくとも諦める必要はないと判決が先鞭をつけた」と評価した。
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