正規労働者と非正規の賃金格差を是正する「同一労働同一賃金」について、自民党が政府に提出する提言の内容が明らかになった。正社員に対するパート労働者の賃金水準をヨーロッパ並みの7〜9割程度に引き上げることや、昇給制度の導入などを目指す内容。月内にも提言する。4月6日、共同通信などが報じた。
厚生労働省の2013年の「賃金構造基本統計調査」によると、正規労働者に対するパートタイム労働者の賃金水準は56.8%と、フランスの89.1%、ドイツの79.3%に対し大きな差がある状態だ。
勤続年数別の時給の違いを見てみよう。2013年度の調査では、パートタイム労働者の時給は、男性が勤続0年目が992円→20年以上なら1511円、女性同953円→1141円となっている。
これを、正社員と非正規社員での給与月額を勤続年数の違いで比べてみると、2014年度のデータでは、正社員は勤続0年目と30年以上では月額20万円以上の差があるが、非正規では5万8900円しか変わらなかった。
毎日新聞によると、自民党案では企業に対し、「勤続に伴う職業能力の向上を昇給にどう反映しているかなど、賃金体系への説明責任を果たすことを求める」などと記述。昇給を検討するよう求める方針だ。
今後注目すべきは、非正規の昇給の内容についても、政府が企業側に縛りを求めるのかという点だろう。もし、自民党案のように非正規雇用者の給与水準が正規労働者の9割になると考えると、勤続30年目の給与は0年目に比べて、単純計算で18万円以上高くなることになる。