「生前退位」の意向を示している天皇陛下が、自らの考えを「お気持ち」として国民に表明される機会を、8月上旬にも設ける方向で宮内庁が検討していることがわかった。同庁は8月8日などを候補に、日程の検討を進めているという。7月29日、NHKニュースなどが報じた。
天皇陛下は82歳と高齢になった現在も精力的に公務を続ける一方で、「憲法に定められた象徴としての務めを十分に果たせる者が天皇の位にあるべきだ」と考え、天皇の位を数年内に皇太子さまに譲る意向を、宮内庁の関係者に示されているという。
時事ドットコムによると、宮内庁は天皇の国政への関与を禁じた憲法との関係から、「生前退位」の意向が示されたことを公式には否定しているが、国内外に陛下の考えが広く伝わった方が望ましいと判断。政府と協議した上で、終戦記念日(8月15日)前にお気持ちの表明機会を設ける方針だという。
■お気持ちの表明、どのような内容に?
「生前退位」には、皇室典範の改正など、国会での法律的な措置が必要になる。日本国憲法で天皇は「憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない」と定められているが、仮に天皇陛下が退位の意向を公式表明すれば、政治的な発言と受け取られかねない。制度の改正に直結すれば、天皇の国政関与を禁じた憲法との整合性を問われかねない可能性がある。
そのため、お気持ちの表明にあたっては、「退位」という言葉や直接的な意向の表明を避けられるものとみられる。NHKニュースは関係者の話として、「(お気持ちは)ご自身の思いがにじみ出るものになるだろう」と伝えた。
お気持ちの表明方法は、東日本大震災直後の時と同じく、収録した映像でのビデオメッセージのほか、テレビ中継などが検討されているという。テレビ中継を通じてのお気持ちの表明は、実現すれば初めてとなる。
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