「将来、海外で働きたい!」
そう思っている方に質問です。海外で働く場合、どのようなスキルが最も重要でしょうか?
多くの方が「英語力」を挙げられるかと思います。
もちろん英語は重要です。最低限の英語くらいはできなくては、まったく話になりません。
しかし、英語力以前にもっと大事なことがあります。
それは「環境適応能力」です。
あなたが慣れ親しんだ日本での生活から離れ、異国で生活・仕事をする。その過程では、日本では想像すらできないようなこともたくさん起きるのです。
この「環境適応能力」がなければ、海外で働くには苦痛が伴います。
単に海外に憧れているだけではこれらの困難を乗り越えることはおろか、受け入れることさえもできないでしょう。そういう方は、このまま日本で働くことをお勧めします。
私の経験からフィリピンを中心にお話しますが、これはどの国でも共通することだと思います。
一度よく考えてみてください。もう一度聞きます。
あなたは海外で働きたいですか?
これくらいのことが受け入れなければ、現地で働くのはムリ!
▶セブで見かけた、痩せてあばら骨が浮いた犬
前回の記事で私が経験したおもしろ、おかしな出来事。
しかし記事でご紹介したのは全体のほんのひと握りです。次々に起こる問題を受け入れていかなければなりません。
海外に来て、「あれがダメ」「これがダメ」と思うことも確かにあるかもしれませんが、すぐ文句を言っているようでは海外での活躍は難しいでしょう。
以下、5つの事例を挙げてみます。自分がこれらの状況に対してどう思うか、チェックしてみてください。
1. ネットが繋がらない
日本におけるネット回線の速さは素晴らしいです。
アジアではインターネット接続が安定しないところも多く、使えなくなることもよくあります。フィリピン・セブでは、天気が悪いだけでネット接続に影響し、速度が遅くなります。
今の時代、ネット接続ができないのは死活問題と見る方も多いかもしれませんが、この状況も時には受け入れ、挽回策を考えなくてはならないのです。
もし、ネットがまったく繋がらない状況に置かれた時にどのように対応するか?
これをしっかり考えることが大切です。
2. 電気・水も止まる!?
電気や水もネットと同様、日本に比べて安定しないため、家も会社も突如停電になることがあります。フィリピンでは、ショッピングモールでさえ、突然停電になることがあります。
今この時、水・電気が止まっても大丈夫か、止まってもどのように解決するかを考え生活しなければなりません。
3. 騒音が止まない
夜中の騒音。これもフィリピンではよく発生します。
夜中にカラオケする人、夜中に叫び出す人、車のクラクションにバイク音などさまざま。
コンサートも夜中でもよく行われています。
このあいだも自宅近くで謎のコンサートが朝から晩まで開かれていました。
過剰にセンシティブだと、こういった環境を受け入れることができず、寝ることもできません。
このような環境でも十分睡眠をとれる。
そういう図太さがフィリピンでは必要なのです。
4. お腹を壊しがちになる
食べ物に絡んだ問題も多く発生します。日本と比べて、味付けも違えば衛生面も良いとは言えません。海外長期滞在者のほとんどは、一度くらいはお腹を壊した経験があるでしょう。
しかしこのくらい、当然です。食事をする場所が汚いのも当たり前。
ローカル食堂を見て「こんなところで食事はできない......」と思う方は、海外就職は諦めましょう。
5. 便器が突然消える!?
さて、これはさすがに稀ですが、セブではこんなことも起きました。これは私の知り合いが経験した話です。彼女はある語学学校に住み込みで働いていました。
ある日、住居のトイレで事件が起きました。なんと昨日まであった便器がなくなったのです。
ふつう、便器がなくなりますか?
でもそれすらも、受け入れなければなりません(笑)。
いちいち起こることにイライラしていても、意味がないのです。
日本での日常をそのまま海外にもって行こうとしていないか?
以前に記事でも書いた通り、外国は日本とは違います。
日本にある環境をそのまま海外で期待しても難しいのです。それぞれの国の価値観もあれば、国の成長度合いだって違います。当地で日本クオリティを存分に味わいたいのなら、それ相応の金額を支払う必要があります。
もちろん、日本以上の金額を払わなければいけない場合もあります。
海外就職を目指す方は、ここを必ず理解しておいてください。
環境適応力こそがこれからの時代、求められている
今回お伝えしたかったのは、海外就職で最も重要なことは「環境適応能力」だということです。
私は仕事する中でたくさんの日本人の方を見てきましたが、この能力が高い人は非常に有望だと思っています。
私は28年間日本で生活をし、28歳11ヶ月目で初めて海外へ渡航しました。しかし私は異国の環境でも辛いとは思いませんでした。ここでも生きていけると感じたのです。この確信が重要です。
海外就職したい方は、今回例に挙げた5つの事例を自分自身にあてはめて考えてみてください。
最低でも、この5つくらいはすべて受け入れましょう。そうでなければ、海外就職をしても辛いと思うだけかもしれません。
それでも、あなたは海外で働くことができますか?
~この記事を読んだ方にオススメ~
ライター
中西 佑樹/Yuki Nakanishi
1985年大阪府出身。株式会社ENLink 代表取締役。高校在学中からミュージシャンとして活動し、その後アパレル系企業に就職。2008年に不動産業に転職し、BBT大学に通いながらもトップクラスの業績を収める。その後、元Appleの松井博氏との出会いを経て海外経験ゼロにして語学学校、Brighture English Academyを創業。講演やブログ(NAKANISHI.BLOG)でもさまざまな発信を行っている。
週刊ABROADERSは、アジアで働きたい日本人のためのリアル情報サイトです。海外でいつか働いてみたいけど、現地の暮らしは一体どうなるのだろう?」という疑問に対し、現地情報や住んでいる人の声を発信します。そのことによって、アジアで働きたい日本人の背中を押し、「アジアで働く」という生き方の選択肢を増やすことを目指しています。
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