全米で100万人以上の生徒・教師らが参加した、銃規制デモ「MarchForOurLives(命のための行進)」。
フロリダ州・パークランドの高校の銃乱射事件を生き延びたエマ・ゴンザレスさんが3月24日、ワシントンD.C.に集まった人々の前でスピーチをした。銃規制に取り組まない政治家たちを一喝し、世界的な注目を集めた彼女。銃規制運動の中心的存在として「TIME誌」の表紙も飾った。
この日、彼女は「6分と約20秒。この6分ちょっとの時間に、17人の友の命が奪われました」とスピーチを始めた。そして、事件で亡くなった17人、ひとりひとりの名前を読み上げた後、沈黙した。
あまりにも突然、まったく予期せぬ形で、被害を受けた17人の犠牲者たち。
彼らは、それまで当たり前のようにしていたことが「二度と」できない。
「友人のカーメンは、もう二度と、ピアノの練習をしたくないと愚痴ることはない」
「アレックスは、彼の兄弟のライアンと一緒に登校することはない」
「スコットはキャンプでキャメロンと冗談を言い合ってじゃれることはない」
二度とできない。もう二度と...。
ゴンザレスさんは17人の名前を全て読み上げた後、急に沈黙した。
語ることをやめ、前をしっかりと見つめる。
その頬を涙がつたった。
沈黙が長引くにつれ、聴衆に戸惑いが生じてきた。「一体何が起きてるのだろう」
にわかに「Never again(二度と起こしてはならない)」のコールと手拍子が巻き起こる。
しかし、彼女はそれでも口を開かない。
「何が起きてるんだろう...」。会場も再び静けさを取り戻す。
あまりにも長い沈黙。緊迫感が最高潮に達した時。
「ピピピ......」
タイマーのアラームが鳴り響いた。
「私がここに出てきてから、6分20秒が経ちました」
17人の命が奪われた時間。耐えがたいその重みを、ゴンザレスさんは「沈黙」で伝えた。
そして、彼女が次のようにスピーチを締めくくると、聴衆からは割れんばかりの歓声が上がった。
「どうか、自分の人生のために闘ってください。それが他人の手に委ねられる前に」