イーロン・マスクは、どんな困難があろうと火星へ人を送り込もうとしている(最新計画)

「もう一度宇宙に出ていきましょう」
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SpaceX founder Elon Musk speaks during the 67th International Astronautical Congress in Guadalajara, Mexico, Tuesday, Sept. 27, 2016. In a receptive audience full of space buffs, Musk said he envisions 1,000 passenger ships flying en masse to Mars, 'Battlestar Galactica' style. He calls it the Mars Colonial fleet, and he says it could become reality within a century. Musk's goal is to establish a full-fledged city on Mars and thereby make humans a multi-planetary species. (AP Photo/Refugio Ruiz)
ASSOCIATED PRESS
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アメリカの民間宇宙開発企業「スペースX」CEOのイーロン・マスク氏は9月27日、火星を自給自足のコロニーにする計画を世界に向けて明らかにした。

マスク氏は、メキシコ・グアダラハラで開かれた第67回国際宇宙会議(IAC)の場で聴衆に、人類には2つの基本的な生き方があると発言した。「1つは地球に永遠に住み続けること」、そしてもう1つは「宇宙空間をまたぐ文明を築き、人類が複数の惑星に住む種となること」だ。

彼は後者の可能性を採用し、火星をコロニーにするのが「私たちの進むべき道」だと発言した。

「地球上なら、もうどこにでも行けるようになりました。かつてのアメリカ西部のように、今は宇宙がフロンティアなのです」と、マスク氏は語った。

「もう一度宇宙に出ていきましょう。移住するのなら、火星がぴったりです」

SpaceXはその目的を達するために、巨大な「惑星間輸送システム」を構築する計画だ。これはマスク氏のプレゼン前にネット上に投稿された動画で明らかにされた。シミュレーション動画の開発にあたっては同社のエンジニアリングモデルが活用された。

マスクは、「この動画は、将来の希望といった程度のものではありません。これが実現できるよう、当社が計画しているものです」と述べた。

現在、私たちは火星に行けるほどのお金は持ち合わせていない。SpaceXでは、既存の方法では火星に行くのに100億ドル(約1兆円)ほどかかると試算している。そのような「法外な値段」では、自給自足的な文明を作ることはできないと、マスク氏は言う。

SpaceXの目標は宇宙旅行をお手頃な価格でできるようにすることだ。だから火星行きにかかる費用はアメリカの住宅平均価格の20万ドル(約2000万円)ほどにしたいという。

「誰もが火星に行きたいわけではありません。地球から出たい人はほんの一握りの人たちでしょう。しかし、ある程度の人は火星に行ってみたいと思い、実現可能な旅にお金を払えるようになるのです」

マスク氏は、費用を500万%も引き下げるのは「実質的に不可能」だとしつつも、それができる方法があるという。

彼はプレゼンで、宇宙船を完全に再生可能にすることが大事だと述べた。また、適切な燃料ロケットの選択、軌道での宇宙船への燃料補給、火星での推進剤生産も重要だという。

SpaceXは約100人(将来はさらに多い人数)と荷物・貨物を運搬できる巨大な宇宙船を建造する計画だ。100万人が住む自給自足的な植民地を作るには、約1万回運搬しなくてはならない。

SpaceXは最終的に1000機ほどまで宇宙船の数を増やせそうだとした上で、彼はコロニー化を実現するには最初の飛行から40〜100年ほどかかると試算している。火星への有人飛行は2025年を目標としている。

2年で宇宙船「ドラゴン」を火星へ送るのを手始めにしたい。後は電車が駅を出発するような流れとなる。

資産を蓄えているマスク氏の主な動機は、惑星間の事業に対し可能な限り最大の貢献をすることだという。

「このプロジェクトは荒唐無稽な冒険かもしれません。しかし、想像できる中で最もインスピレーションを掻き立てるものだと思います。人生は日々の問題を解決するためだけでなく、将来に目を凝らし、気持ちを高めておくべきです。インスピレーションのある状態で生きていたいものです」

彼の計画では、宇宙船はとても広く、ゲームや映画、レストランといったアメニティを備えている。火星の植民地でもたくさんの楽しい体験ができるという。

「火星での生活は楽しいと思います。重力が地球の37%ほどしかありませんので、重いものも持ち上げられますし、跳ね上がることもできる。楽しいことはたくさんあるでしょう」

火星の探査・植民の促進、啓蒙を行うNPO「火星協会」の設立者兼社長で火星探検の提唱者でもあるロバート・ズブリン氏によると、マスク氏は興味深くて価値あるアイデアを多く示してくれたという。ズブリン氏は、現状では実用的ではないものの、「少し修正を加えるだけで、より実用的、効果的なものになる」とハフポストUS版に語った。

「最終的には、マスク氏の成功が証明される」と、ズブリン氏は信じている。

ズブリン氏によると、「彼は火星へ人を送り込めると思います。なぜなら彼はそれをしようと実行しているからです。今、NASAにはそれができません。求めていないからです。イーロンは、NASAのように物事を永遠に遅延させるために問題に対処しようとするのではなく、問題の解決策を見つけようとしているのです」という。

2015年12月、SpaceXはフロリダ州ケープカナベラルから離陸したFalcon 9を、わずか6マイルしか離れていない地点に垂直着陸させ、1つの歴史を作った。マスクはこの瞬間を「革命的」と呼び、「火星に都市を建設する計画に向けた重要なステップ」と讃えた。3月には14層ロケットブースターを海上のドローン船に着地させた。それまでの海上着地は4回失敗し、炎上していた。

一方で失敗もある。9月1日、ケープカナベラルの発射台上でFalcon 9が爆発、炎上した。マスク氏はこの事故を14年の会社の歴史の中で「最も困難で、最も複雑な失敗」と評した

国際宇宙会議でのイーロン・マスク氏のスピーチは、以下の動画で見られる。

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

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(スライドショーが見られない方はこちらへ)

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