ドナルド・トランプ氏、大統領当選が正式に決まる 選挙結果はひっくり返らなかった

上下両院は1月6日に議会を開き、選挙人の票を集計することになる。
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コロラド州の連邦裁判所で行われた選挙人投票。/ REUTERS/Rick Wilking

アメリカ大統領選で正式に大統領と副大統領を選出するため、538人の選挙人投票が12月19日行われ、共和党のドナルド・トランプ氏が大統領に当選した。複数の選挙人がトランプ氏、ヒラリー・クリントン氏以外に投票して州の決定に逆らうという造反がみられた。

選挙人たちがそれぞれの州議会議事堂に集まり、自分たちが前もって票を入れると宣誓した正副大統領候補に投票した。しかし、選挙人の多くは特定の候補に票を入れるよう法的に拘束されているわけではない。「信義なき選挙人」として呼ばれる複数の投票人が、過去に自分たちの支持政党以外に投票したり、棄権したりした前例はある。

テキサス州の代表選挙人が投票した時点で、トランプ氏は当選に必要な最低数の代理人票270を確保していた。上下両院は1月6日に議会を開き、選挙人の票を集計することになる。

メーン州の民主党選挙人デイビット・ブライト氏は、民主党の予備選でクリントン氏に敗北したバーニー・サンダース上院議員に票を入れると選挙前に発表した。

ブライト氏は声明の中でこう述べた。「私はバーニー・サンダース氏に投票します。腹いせや悪意、怒り、市民としての不服従といった理由ではありません。候補者には失礼かもしれませんが、私はメーン州の何千人もの民主党有権者を代表して投票します。その多くは私の年齢の3分の1以下の人たちで、バーニー・サンダース氏のために今年初めて政治に参加した人たちだからです」

メーン州など29の州とD.C.(コロンビア特別区)では、選挙人は予備選で勝利した候補者に投票することが義務付けられている。今回の場合はクリントン氏だ。ブライト氏は今回の行動で罰金を科される可能性があるが、過去に選挙人が罰せられたことはない。

ブライト氏が実際に19日の投票でサンダース氏に投票すると、違反と判断された。その後、ブライト氏は代わりにクリントン氏に投票した。

メーン州オーガスタ(AP通信)——メーン州民主党選挙人によるアメリカ合衆国上院議員バーニー・サンダースへの投票が違反と裁定され、彼はヒラリー・クリントンへの投票に切り替えた

クリントン氏に投票する予定だったミネソタ州の10人の選挙人のうち1人が、19日に投票を拒否したため解任され、後任に入れ替えられた。

ミネソタ州の選挙人10人のうちの1人、ムハンマド・アブドゥラハン氏が投票を棄権。後任の選挙人が宣誓をしている。

コロラド州の選挙人も同様に差し替えられた。

コロラド州の選挙人団から、1人の選挙人がクリントンへの投票を拒否して差し替えられたのちに9票を獲得。

ワシントン州では、4人の選挙人が造反し、元国務長官のコリン・パウエルと、ネイティブアメリカンの環境活動家で、石油パイプライン「ダコタ・アクセス・パイプライン」建設の抗議デモを主導したフェイス・スポッテッド・イーグル氏に投票している。

ワシントン州の選挙人団で4人の「不誠実な投票人」が党に逆らい、コリン・パウエル氏に3票、フェイス・スポッテッド・イーグル氏に1票が入る

テキサス州出身で共和党の選挙人クリス・サプラン氏は、オハイオ州知事ジョン・ケーシック(共和党)に投票すると語った。 サブラン氏は5日、ニューヨークタイムズに寄稿し、「次期大統領のトランプ氏は日々職務不適格ぶりを見せている」と述べた。そして選挙人の仲間に「役目を果たし、尊敬に値する、資格のある代わりの候補」に投票するように呼びかけた

サプラン氏は19日の投票でも、ケーシック氏に投票することに決めていると政治ニュースサイト「ザ・ヒル」で表明していた。

「ロナルド・レーガンは冷戦に勝利できず、そのためウラジーミル・プーチンが50年も経たないうちに我々の次期大統領を選ぶことができた」と彼は語った。

テキサス州の選挙人は1人、おそらくサプラン氏がケーシックに投票した。もう1名の選挙人が元共和党議員のロン・ポール氏に投票した。

こうした造反はあったが、トランプ氏の正式選出には全く疑問の余地がなかった。トランプ氏は投票数では対立候補に破れたものの大統領に当選した5人の大統領(1824年の記録開始以来)のうちの1人となる。トランプ氏はクリントンに250万票以上の差をつけられている。これは投票数で敗れた大統領の中では最大の差だ。

選挙結果を変えるには、トランプ氏に投票した選挙人38人が共和党に造反し、他方の候補者に投票しなければならなかったが、そんなことは到底起こりそうもなかった。活動家たちはそれでもなお、選挙人団は連邦政府の「抑制と均衡のシステム」に不可欠な要素だとし、選挙人たちが造反し、次期大統領へ反対票を投じるよう求め続けた。

ハーバード大学法科大学院のローレンス・レッシグ教授はこうした活動家のひとりで、トランプ氏のホワイトハウス入り阻止のため行動を起こそうとするすべての選挙人を対象に、ボランティアで法律相談に応じた。

「このような活動を行ったのは、憲法によって選挙人に認められた権利である『自らの良識に従って投票すること』について熟慮する選挙人が大勢出てくるだろうという認識があったからだ」と、レッシグ教授は語った

19日の投票に先立って、レッシグ教授は20人の選挙人が造反する可能性がと予想したが、AP通信の選挙人調査でも、共和党による集計でも、実際には起きなかった。

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。 

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