格差社会と選挙

格差が広がりすぎると、そして生まれで全てが決まる階級社会になると、社会が荒む。日本の持ち味が失われ住みにくい国になり、やがて国としての競争力も落ちる。
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今回の選挙の大きな争点の一つは、格差社会の拡大を認めるかどうか、だと思う。

格差が広がりすぎると、そして生まれで全てが決まる階級社会になると、社会が荒む。日本の持ち味が失われ住みにくい国になり、やがて国としての競争力も落ちる。英国は階級の存在が重荷で、こういう悪い点は真似してはいけない。アベノミクスの恩恵を感じない人・勝ち組両方とも真剣に考えるべきだろう。

もしアベノミクスが本当に成功していたとして、現時点で自分が何ら恩恵を感じていないなら、今後も恩恵は得ることはないだろう。つまり安倍政権が続いて格差社会が拡大して日本が上流層と下流層に二極化したとき、自分が下流層になることを意味する。

ネットで出回っている画像だが再度紹介する。

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巷で子供をよい学校にいれるのに必死な中流の家庭を見たことがあろう。彼らは自分の子供が下流に転落するのを恐れて「バスに乗せよう」としている。でも、その努力を少しでも政治を変えることに使って、格差社会を縮めて誰もが自分の人生を楽しめる社会にできたら、そんな心配をする必要もないのに、と思う。自分だけのことじゃなくて、少しだけ周りのことを考えれば、何を選択していくべきか、見えてくると思うのだが。

私自身は医者だが、医者で安倍自民のアベノミクス政策を支持する人もいるようだ。それは自分たちの懐が恩恵を被っているからかもしれない。でも、大多数の患者が安倍政権下で消費税増税になどの締め付けで、より苦しい生活をしていることに気がついていないはずはなかろう。仮に医者なら、心はいつも患者に寄り添い、貧富の差別なく患者を助け、患者の生活と幸福を第一義に考えるのが医者のあるべき姿じゃなかったのか。この医者として一番大事な価値を忘れてしまったのだろうか。

日本の個人主義がまだ未熟なせいだろうが、悪い部分だけ助長しているように思う。しかし個人主義は一度目覚めたら、戻ることはないので、これからは、公益を大事に考える個人主義という良い方向に伸ばしていかなければならない。別の言葉で言えば、多くの人が、もう少しだけ、自分の周りに目を遣れるようになれば、社会はもっと良くなるのに、と思う。

(2014年12月13日「小野昌弘のブログ」より転載)