石破 茂 です。
消費税率引き上げを二年半先送りし、参議院選挙でその是非を問うこととなりました。一年半前の総選挙におけるわが党の公約との整合性、世界経済についての認識、次期税率アップの時期など論点は多岐にわたりますが、これらを前提に今夏の参院選に勝利しなくてはなりません。
本田悦朗・内閣府参与は、月刊誌Voice五月号の「消費税増税は凍結すべし」と題する論考で、「日本に求められているのは金融政策と財政政策を両輪とする強力なマクロ経済政策である。デフレからの完全脱却を果たし、2%程度のインフレ率が安定して持続するようになるまで消費税率を断じて引き上げてはならない」という趣旨を述べておられますが、構造改革と社会保障改革についてほとんど言及がなかったのはいささか残念でした。
ピケティ教授は「5%程度のインフレを10年続ければ政府債務は半減する」と述べていたように思いますし、理屈の上ではそうなるのでしょうが、どのようにしてそれを達成するのか。金融資産はインフレと共に目減りするので、資産逃避が起こり、更にインフレは加速するのではないか。増税のみで政府債務の正常化ができないことは当然として、いかにインフレをコントロールするのか。税はコントロールできますが、インフレがコントロールされたという例を私はあまり存じません。そのような懸念に対しても、きちんと応える責任を我々は有しているのだと思います。
社会保障の改革についても正面から議論し、参院選において国民に問うべきものだと思います。社会保障の充実を赤字国債で賄うなどという民進党・岡田代表の主張は論外としても、医療・年金・介護などの社会保障は基本的に保険のメカニズムによるべきところ、リスクを回避できた人まで一律に裨益したのでは贈与になってしまい、税をいくら投入しても足りなくなってしまうのは自明のことではないでしょうか。終末期医療(この言葉は嫌いですが)について議論することはタブーのようにも感じられますが、「いかに人生の最後を迎えるか」は「いかに生きるか」と同じことなのであり、避けてはならないと思っております。
昨日の財政諮問会議で民間委員の金丸恭文氏が「今をチャンスと捉えて、地方や民間の意識改革を進めるべき」と農業やサービス業を例に挙げて具体的に述べておられたことは極めて印象的でした。マクロ経済学で議論を戦わせることはそれなりに重要ですが、同時に個々の地域・産業に視点を当てた議論もまた必要なはずです。それは地域や人々の意識改革にかかっており、政府はそれに対していかに支援し、いかに妨げないかが求められています。
同時選挙も無くなり、参議院公示まではまだ間があるため、この週は少しだけ余裕のある日程となり、昨日はミス・ユニバース日本代表・鳥取県代表の来訪を受けました。知性と美貌の両方を兼ね備え「天が二物を与えた」ような方々でしたが、とにかく皆さん背が高くて、ハイヒールを履いておられるので写真撮影の際は176cmの私より高くなってしまい、これはいささか衝撃的な体験でした。
週末は3日金曜日夕方から地元に帰り、岡山県境の八頭郡智頭町長選挙・町会議員補欠選挙の応援演説。
4日土曜日は年に一度の大規模集会「どうする日本」で講演(10時・JA鳥取中央本所、13時半とりぎん文化会館)、境港港湾整備状況視察(午後5時半・卸売市場他)、安田優子鳥取県議会議員・自民党鳥取県連幹事長県政報告会(午後7時・夢みなとタワー)。
5日日曜日は千葉県野田市長選挙・市議会議員補欠選挙出陣式で挨拶(午前10時・野田市花井)、日本生産性本部地方創生人材シンポジウムで挨拶(午後1時半・大手町サンケイプラザ)、三ツ林裕己衆院議員国政報告会・関口昌一参院議員総決起大会で講演(午後3時・アスカル幸手・埼玉県幸手市)、牧島かれん衆院議員・内閣府政務官後援会・神奈川第17区青年部集会で講演(鈴の音ホール・神奈川県小田原市)、という日程です。
地方選挙の日程も入りますが、参院選前でもあり、いささかも手は抜けません。
都心の週末は梅雨入り前の、比較的気温と湿度の低い爽やかな日々が続いています。皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。
先週お伺いした、岩手町春祭り(北緯40度公園野外ステージ)の様子です。(画面中央、檀上に石破代議士。)
(2016年6月3日「石破茂オフィシャルブログ」より転載)