長引くヨーロッパ難民問題の解決の糸口となるのだろうか。エジプトの大富豪ナギーブ・サウィリス氏が、難民のために地中海の島を買うと申し出た。購入した島は、将来難民が安全に自国に戻れるまでの避難所になるという。
通信事業者「オラスコム・テレコム・メディア・アンド・テクノロジー」の会長を務めるサウィリス氏の資産は約29億ドル(約3450億円)といわれている。彼はこの提案を、9月2日にTwitterに投稿した。
「ギリシャかイタリアに島を売ってもらう。その島を独立させて難民を迎える。そして彼らに仕事を与えて新しい国を作る」
「馬鹿げた考えかもしれない…。でも自国に戻れるまでの一時的な場所としてだったらどうだろう?」
サウィリス氏は、AFP通信に「計画は上手くいくでしょう。何十万人もの難民が住めるような無人島はたくさんあります」と話し、自信をのぞかせている。
島の価格は1000万〜1億ドル(約12億〜120億円)の間で、ギリシャかイタリアに購入を計画しているそうだが、両国の政府が、サウィリス氏の計画を検討しているかは不明だ。
ヨーロッパの難民問題は危機的な状況にあり、ニュースや写真が世界中に衝撃を与えている。8月27日、オーストリアの保冷トラックの中で71人の難民が死亡しているのが発見された。また、9月2日には3歳のシリア難民の男の子がトルコのビーチに遺体となって流れ着いた。そして、9月3日にはハンガリーでは何百人もの難民たちが警察と衝突した。
トルコの海で溺死した3歳のシリア難民の男の子
ハンガリーの駅で警察に抵抗する難民
オーストリアで70人以上の死者が見つかったトラック
人権団体は、ヨーロッパ諸国に対して、この問題に速やかにそして人道的に対応するように呼びかけている。しかし、ヨーロッパ各国の対応はわかれている。
国際移住機関のウィリアム・スウィング代表は、「これほどまでに、未解決で複雑、そして短期的・中期的な解決策がない人道的危機は見たことがありません」と、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に語っている。
この状況を改善するために、サウィリス氏のような個人や団体が解決策を提案している。
政府がシリア難民を50人に制限すると発表したアイスランドでは、多くの市民がシリア難民を自分達の家に受け入れるとソーシャルメディアで表明している。
難民版「Airbnb(エアビーアンドビー)」といわれるドイツのウェブサイト「Refugees Welcome」では、800人以上が、難民に自宅を提供すると申し出ている。ヨーロッパ各国で、このサイトのスピンオフが立ち上げられる予定だという。
国際移住機関によると、2015年だけでもヨーロッパに向かう途中に地中海で命を失った難民は2,600人を超え、1,800人が行方不明になっている。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
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