編集はヒップホップだ。編集者は美学を持ったB-BOYたれ

最新号の「WIRED」が面白い。巻頭の特集は「ヒップホップ・スタートアップ」。
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最新号の「WIRED」が面白い。巻頭の特集は「ヒップホップ・スタートアップ」。

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リード文はこうだ。

アントレプレナーの必読書『リーン・スタートアップ』の理論は、Mixtapeビジネスの仕組みで説明できる。

成功する企業家は、みんなJay-Zを聴いている。そしてJay-Zは、音楽よりもビジネスで稼いでいる。

スタートアップに必要なすべてはヒップホップに詰まっている。

スゴイ説得力。特集内では、エビデンスの数々がこれでもかと綴られている。

この特集に触発されて、「編集はサンプリングスポーツだ」「ヒップホップに似ている」と、以前から抱いていたがおぼろげなままだったイメージを整理してみた。

■編集はヒップホップだ。3つの関連性

(1)手法の関連性 ヒップホップ:サンプリング・ミックス≒編集:文脈結合・ストーリー構築

オールドスクール期(1970~1980年代)~ニュースクール期(1990年代以降~後ろは曖昧だが2000年代前半)までのヒップホップにおける最重要のマナーに、サンプリングという手法がある。サンプリングとは、過去の曲や音源の一部を引用し、再構築して新たな楽曲を製作する音楽製作法・表現技法のこと。

過去・現在の事象や事象の一部を関連付け、意味付けして文脈結合、ストーリー構築する編集行為そのものだ。

※最先端のヒップホップは打ち込み中心で、EDMと同化しているところもあるけれど...

(2)アティチュードの関連性 ヒップホップ:発信したいメッセージありきのリリック≒編集:伝えるべき、伝えたい意図ありきの編集

ヒップホップでは、サンプリングや打ち込みで構築したバックトラックに、己のメッセージ、存在意義を投影したラップを乗せるのが基本マナーであり、伝えたいメッセージありきであることが、重要なアティチュードだ。編集においても同様で、その編集手法の前に、何らかの伝えるべき、伝えたい意図(つまりメッセージや存在意義)ありき。

そのメッセージをビビッドに表現するための編集表現(記事、イラスト、写真、映像)は、さながらバックトラックといえよう。

(3)ともに総合芸術 ヒップホップ:総合芸術≒編集:総合芸術

ヒップホップを聴かない人は、ヒップホップとラップミュージックを混同してしまうが、ヒップホップとは本来、ラップ、DJ、ブレイクダンス、グラフィティアートを含んだ総合芸術を指すものであり、編集にしてもテキストからアートまで、ありとあらゆる表現の可能性を内包する総合芸術という捉え方もできる。

ヒップホップ、編集ともに手法を問わない総合芸術というオチだが、これは、ともにその根底にある「精神」「美学」こそが、最も重要な共通項だと締めくくりたい。

日本のヒップホップグループ、RHYMESTER(ライムスター)のクラシック「B-BOYイズム」有名なリリックを最後に。

「決して譲れないぜ、この美学。何者にも媚びず己を磨く」

これからは編集者の黄金時代がやってくると言われる。

次世代編集者には、確固たる美学を持って社会に新たな総合芸術を示して欲しい。