ハワイ島で9月26日夜(米国時間)、約100本の遺伝子組み換え(GMO)パパイヤの木がナタで伐採されるという事件が発生した。
これは、破壊行動の一環としてたまたま狙われたのではなく、エコ・テロリズムによるものと考えられている。ハワイ島では現在、同島におけるバイオ・テクノロジーの将来のあり方が検討されているからだ。
ホノルルの情報サイト「Honolulu Civil Beat」によると、ハワイ島では現在、バイオ・テクノロジーに制限を課す2つの条例案が議論されている。このうちの1つの条例案は、ハワイ島における遺伝子組み換えパパイヤの畑にある木をすべて伐採することを義務付けようとするもので、遺伝子組み換えパパイヤを育てていることが見つかった農家には、懲役刑または罰金刑が科される。
ハワイにあるパパイヤの多くは、遺伝子組み換え種子から作られている(農水省サイトによれば、ハワイにおけるパパイヤの作付面積のうち、組み換えパパイヤが占める割合は77%)。この遺伝子組み換えパパイヤは、1950年代にハワイのパパイヤを全滅させたパパイヤ・リングスポット(輪点)ウイルスへの抵抗力を持つとされており、1100万ドル規模にのぼるハワイのパパイヤ業界にとっての救世主だと考えられてきた。
26日の事件の被害額はおよそ3000ドルと見積もられているが、過去の事件と比べれば控えめな方だ。2011年には、今回と同じパパイヤ農場で、約4ヘクタール分の木が伐採された。その前年にも、約8500本のパパイヤの木が切り倒されている。警察はどちらの事件も解決していない。
遺伝子組み換え作物に対して反対する活動家たちは、たとえば、オーストラリアで栽培されている耐寒性の遺伝子組み換え小麦を、小型芝刈り機を使って刈り取ったり、フィリピンで遺伝子組み換えナスを切り落としたりもしている。
農水省サイトによれば、日本では、米国で開発された遺伝子組み替えパパイヤに関しては、安全性が審査されたとして、2011年12月以来、輸入することが可能になっている。ただし、台湾で研究開発されている遺伝子組み替えパパイヤに関しては、安全性が確認されていないとして、輸入や栽培を禁止している。2013年7月、広島県福山市の食品販売会社がインターネットで販売したタイ産パパイヤから、安全性が審査されていない遺伝子組み換えパパイヤが見つかり、福山市は食品衛生法に違反するとして自主回収を指示した(日本語版記事)。
農水省サイトによれば、2011年4月21日、「台農5号」という名称で国内で流通していたパパイヤ種苗が、未承認の遺伝子組換え体であることが判明。 特定された約8000本強(総栽培面積の2割弱)は、2011年12月末までに、沖縄県の指導の下、全て自主的に伐採されたという。その後の調査で、道ばたや空き地などで、2個体の未承認組み換えパパイヤが発見されている。
[Chloe Fox(English) 日本語版:佐藤卓、合原弘子/ガリレオ]