帝国データバンクが3月4日発表した景気動向調査によると、景気の方向性を示す指数は7年ぶりの低水準となり、円高・株安に加えて東日本大震災の影響で景気が落ち込んでいた時以来となった。
帝国データバンクの発表によると、景気の方向性を示す景気DIは38.7となり、7年ぶりに40を下回った。これは全国企業の景気判断を総合した指標で、50より上ならば「良い」下ならば「悪い」とされる。
前回、40を下回ったのは円高・株安に加え、東日本大震災でサプライチェーンが打撃を受けたうえ、全国的に自粛ムードが広がるなどして景気が落ち込んだ影響。
今回は、消費増税と暖冬で景気がもともと後退局面だったところに、新型コロナウイルスが直撃した格好。今後についても新型コロナウイルスが収束するかどうかが左右するが、「緩やかな後退が続くとみられる」と見込んでいる。
産業別では、調査対象の10業界全てで景気指数が悪化した。
なかでも、中国からのインバウンド(国外からの旅行)のキャンセルが相次いだ旅館・ホテルの観光産業に加え、中国の工場が一時操業停止となったあおりを受けたアパレル産業や、自動車の精密部品などの分野で景気指数が落ち込んだ。
今後見込まれる好材料には、次世代高速通信・5Gの本格化に伴う設備投資需要や東京オリンピック・パラリンピックなどが挙げられている。
また、企業の業績に新型コロナ影響するかを調べた意識調査の結果も公表され、回答した1万704社のうち、63.4%が「マイナスの影響がある」と回答した。日を追うごとに「マイナスの影響がある」と回答する割合が増加している。
「影響はない」は16.9%、「プラスの影響がある」は1.7%だった。