フランス人患者が完治、エボラ出血熱治療に光明

エボラ熱出血に感染したフランスの女性看護師が、富士フイルム子会社の富山化学が開発したアビガン(一般名:ファビピラビル)による治療で快方に向かっていると伝えられていましたが、治癒に成功し退院したと日経などが報じています。
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エボラ熱出血に感染したフランスの女性看護師が、富士フイルム子会社の富山化学が開発したアビガン(一般名:ファビピラビル)による治療で快方に向かっていると伝えられていましたが、治癒に成功し退院したと日経などが報じています。

この治療薬は抗インフルエンザ薬で、ウイルスの型が類似していることから、エボラ出血熱治療にも期待されていたものですが、実際に効果があったことが示されたことになります。自称経済評論家のコメンテーターがテレビで、治験の終わっていない治療薬の投与は人体実験だと言っていたことを、このブログで批判した際に、この治療薬についても取り上げました。

世界保険機構(WHO)が3日に発表した感染者数は、すでに7500人近くに達し、死者が3400人を超えた今回のエボラ熱出血の感染拡大は加速してきています。ロイターがグラフで示している感染および死亡数の推移は、おそろしい事態が起こっていることを感じさせます。しかも、感染が確認できない人を含めるともっと感染者数は多いはずです。

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アメリカのCDC(疾病対策センター)の予測では、来年1月までに55万~140万人に達する恐れがあるとされているほどです。

米国は、エボラ出血熱の封じ込めのために、米軍を最大で4,000名派遣する意向ですが、軍隊で封じ込めるのは限界があり、やはり治療薬が必要でした。

現地で防護服を着用して医療活動を行なっている人たちにも感染がみられ、下手をすると派遣した人たちの感染から、国境を超えた感染拡大の恐れもあります。米国では、最初は「軽度かつ通常のウイルス性疾患」程度の症状しかでないために、エボラ出血熱感染患者だとわからず入国してしまった人が、50人と接触してしまったのです。

隔離するしか対処方法がないために感染拡大が起こっており、しかも治験を済ませ、効果や安全性が確かめられた医薬品がなかったのです。しかも他の候補医薬品はまだ量産体制が整っていません。

そんななかで、抗インフルエンザ治療薬としては治験が終わり、安全性が確かめられたアビガン錠で、たとえひとりでも完治した結果がでたことは、エボラ出血熱感染拡大防止にとっては非常に明るいニュースです。

すでに安倍内閣も、エボラ出血熱への対応として、世界保健機関(WHO)を含む六つの国際機関に対して、2,200万ドルの支援を閣議決定しており、そのなかに、この富士フイルムの「アビガン」の提供も含まれているものと思われますが、エボラ出血熱の治癒と感染防止効果に期待したいところです。世界への日本らしい貢献になってくれことを祈るばかりです。

(2014年10月5日「大西 宏のマーケティング・エッセンス」より転載)