エボラ出血熱に医師が感染 「命の恩人を助けたい」14歳少年が血清を提供

エボラ出血熱に効く可能性がある実験的な血清が、7月30日にリベリアに到着した。問題は、到着した血清は患者1人分だが、ウイルスに感染して危険な状態にあるアメリカ人スタッフが2人いたことだ。
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A picture taken on July 24, 2014 shows staff of the Christian charity Samaritan's Purse putting on protective gear in the ELWA hospital in the Liberian capital Monrovia. An American doctor battling West Africa's Ebola epidemic has himself fallen sick with the disease in Liberia, Samaritan's Purse said on July 27. AFP PHOTO / ZOOM DOSSO (Photo credit should read ZOOM DOSSO/AFP/Getty Images)
ZOOM DOSSO via Getty Images

エボラ出血熱に効く可能性がある実験的な血清が、7月30日にリベリアに到着した。問題は、到着した血清は患者1人分だが、ウイルスに感染して危険な状態にあるアメリカ人スタッフが2人いたことだ。

この血清をどちらのスタッフに投与するか選ぶ必要があった。1人は医師のケント・ブラントリー氏で、アメリカの支援組織「サマリタンズ・パース」からリベリアに派遣されて患者の救護にあたっていた。もう1人はナンシー・ライトボル氏で、もともとは支援組織「SIM」から歯科衛生士として派遣されていたが、エボラ出血熱のアウトブレイク以降は、ELWA病院の隔離病棟を出入りする人々の消毒を行っていた。

サマリタンズ・パースの代表者フランクリン・グラハム氏の声明によれば、「ブラントリー医師は、実験的血清をナンシー・ライトボル氏に投与してほしいと頼んだ」という。

しかし同医師にも、最終的には抗血清(ヒトの生存者から得られた血清で、現在、エボラ出血熱に対する唯一有効な治療法とされる)が投与された。「この血清は、ブラントリー医師の診療のおかげでエボラ出血熱を生き延びた14歳の少年の血液から採取したものであり、少年とその家族は、少年の命を救った医師を助けたいと申し出たのだ」

西アフリカ地域におけるエボラ出血熱のアウトブレイクは史上最悪の規模で、7月31日の発表時点で729人が死亡している。死者が報告されている国は、ギニア、リベリア、シエラレオネ、およびナイジェリアだ。

医師や看護師などが死亡する事例も相次いでおり、WHO(世界保健機関)によると、これまでに60人以上の医療従事者が死亡したとされる。リベリアでは医療従事者の不足から、エボラ出血熱の患者の受け入れをやめた病院も出ていると報道されている

リベリアでは、ウイルスの流行を抑えるために、学校が閉鎖されたと同時に、公務員には家で待機するよう指示が出ている、とCBS Newsは報じている

一方、アメリカ国務省によると、現地で活動していたアメリカ人3人がエボラウイルスに感染し、このうち1人が死亡している。8月2日には、感染した2人の患者のうちの1人であるブラントリー医師が、治療を受けるため専用のチャーター機でジョージア州の空軍基地に到着。その後、救急車でアトランタにあるエモリー大学病院に搬送された。もう1人の患者であるライトボル氏も近く搬送される予定と報道されている

米政府系組織の平和部隊は、数百人のボランティアをギニア、シエラレオネ、リベリアから避難させている。また、サマリタンズ・パースも、「最も重要な人員を除く全員を、それぞれの本国に」避難させていると、声明の中で発表している。

文末のスライドショーでは、主に2014年4月の段階で撮影された、エボラ出血熱と闘う現地の医療関係者たちを紹介している。

[Amanda L. Chan(English) 日本語版:佐藤卓、合原弘子/ガリレオ]

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