文部科学省は6月3日、5歳児が利用する幼稚園や保育所などの最終学年を、義務教育とする方向で最終調整に入った。小学校生活にスムーズに移行することが狙いで、7月に政府の教育再生実行会議がまとめる学制改革の提言に盛り込まれる見通し。MSN産経ニュースが報じた。
関係者によると、現在6歳からの小学校入学年を5歳に引き下げる案も一部で検討されたが、経営悪化を懸念する幼保団体などからの反発も予想され、文科省は現行の幼稚園、保育所、こども園などの枠組みを維持したまま、最終学年の5歳児のみを無償にすることで義務教育化する方針を固めた。
(MSN産経ニュース『5歳児から義務教育、小中一貫校も制度化 「6・3」→「5・4」など柔軟運用も 文科省方針』より 2014/06/04 07:31)
■「小1プロブレム」問題を解決できるか
近年、小学校では、入学したばかりの1年生が「集団行動がとれない」、「授業中に座っていられない」、「先生の話を聞かない」などの「小1プロブレム」が課題になっている。
これまでの議論では「小学校に入学した段階で、すでに授業についていけない子供がいる」という指摘もあり、幼児期の段階から小学校につながる教育内容を徐々に取り入れ、一定以上の教育を義務的に受けさせることが必要ではないかとする提案も出ていた。文科省は5歳児から義務教育化することで、現在施設ごとにバラバラに行われている幼児教育の内容を一定化させたい意向だ。
この問題を解決しようと、小中学校と保育園・幼稚園が連携を行う自治体も出ている。
宮崎県日南市では、0〜15歳までが通う幼小中一貫校ができた。小中学校の教諭が卒園前の子供たちにひらがなを教えたり、小学生が保育所で絵本の読み聞かせを行ったりしている。
また、長野県茅野市では、卒園が近づいた保育園・幼稚園で「昼寝を無くす」、「個の遊びから集団の遊びに広げる」などの取り組みを始めた。
文科省は幼児教育の無償化が、少子化対策にもつながるとみており、幼児教育の早期導入へ向けて取り組む方針だ。内閣府の調査によると、子供のいる20〜49歳の女性のうち、少子化対策のための経済的支援には、幼稚園費の軽減などが望ましいと答える人が67.7%と多いなど、幼児保育の無償化を希望する人は多いとみられるためだ。
なお、インターネットからは、「もっと早く行うべきだった」とする意見や、「子供の身体面・精神面での成長は大丈夫なのか」など、様々な意見が出ている。
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