オランダ警察が、不審なドローンへの対策用に鷲の訓練を進めています。訓練された鷲は、目標物から遠いところから一気に接近し、鋭い爪を持つ足でドローンを捕獲します。
これまで不審ドローン対策としては、自動着陸信号の電波を使ったり、大きなネットで絡め取ったり、またはネットガンで捕獲する方法が考えられてきました。しかしそれらはいずれも、失敗するとコントロール不能になったドローンが落下し、場合によっては下にいる人に対して危険となることが考えられました。
そこで、オランダ警察が考えたのが、鷲によるドローンの捕獲。当初はオランダ警察も電波による不審ドローンの無効化を検討していました。しかしそれより物理的に捕らえるほうが周囲に対して安全だと判断し、鷲にドローンを捕獲させるテストを実施しています。
オランダ警察はデンマークにある猛禽類の訓練センターと協力し、鷲がドローンを捕獲するようしつけられるかを確認しました。
そもそも鷲にはドローンを獲物とみなして攻撃・捕獲する習性がありました。そして鷲は獲物をキャッチすれば、すぐさま安全なところへ向かいます。このため、もし不審ドローンの下に人がいたとしても、鷲が取り落とさないかぎり、そこへドローンが落下する危険性は少ないと言えそうです。
ただ、動物愛護の観点からは問題も指摘されます。なぜなら、ドローンの高速回転するローターやカーボンファイバー製の支柱などが鷲の足に怪我を追わせる可能性が高いため。もし、正式に運用するとして、鷲の足に何の保護対策もしなければ、動物愛護団体からクレームがつくことは想像に難くありません。
オランダ警察は引き続き2~3か月をかけて、鷲を使ったドローン捕獲のテストを実施し、不審ドローンの対策として本当に効果的かつ適切な方法でありえるかを決定するとしています。
(2016年2月2日 Engadget日本版「不審ドローン対策の切り札になるか。オランダ警察、鷲にドローン捕獲を訓練中」より転載)
【関連記事】
写真をクリックするとスライドショーが開きます