故きヨガの良さを生かしつつ、音楽という新しさを掛け合わせた、「音ヨガ」とは?
先日、海外のトップモデルであるミランダ・カーが来日。登壇したイベントでは、ヨガの講師役として、日本のファンにレクチャーを実施していました。彼女自身も12年間もヨガを続け、心身のバランスを整えていると言います。
ミランダだけでなく、あのレディー・ガガなど、海外のセレブリティがこぞって夢中になるヨガ。以前、STANDS!でも特集しましたが、そんなヨガ企画の第三弾をお送りします。
その名は、「音ヨガ」。おそらく、ほとんどの方が初めて耳にする言葉だと思いますが、現在、ジワジワとその人気が広がっています。今回は、この新しい形態のヨガをつくったヨガインストラクターである野村賢吾さんに、その概念から効果までインタビューしています。
"無味"なヨガの印象を、音楽をプラスして変えたかった。
- 「音ヨガ」・・・おそらく多くの方が初めて耳にするワードだと思います。これは一体、どのようなヨガなのでしょうか?
野村 その名の通り、音楽をかけながらヨガをするもの、と思っていただけると大丈夫です。歩いている時、ランニングしている時もそうだと思うんですけど、音楽がある方が気持ちよくカラダを動かせますよね?
これまでヨガは、音楽をかけながらやるという習慣があまりなかったんです。でもそれだと寂しいし、初めてヨガをした人にしたら、面白くない。ヨガ=ホットヨガと、多くの人が認識していますが、やっぱり効果がすぐに実感できるからだと思います。
ヨガにはいろんな種類があるし、本来、ヨガは継続しなければ効果は見えにくい。でも、楽しくないと続きませんよね?じゃあ、「どうしたらヨガを続けてもらえるのか。楽しんでもらえるか」と考えた時に、音ヨガをやろうと思ったんです。
- ということは、フツーに動くんですね?名前からして、かなり緩いイメージがあります。
野村 はい、僕のヨガのクラスを受けた人の中にも、「音ヨガという名前だから、あんまり動かないと思っていたので、少しビックリしました」と言われたこともあります(笑)。
カラダのコア、いわゆる体幹を鍛えるトレーニングを盛り込んでいたりするので、結構、激しい動きをしますが、その後は徹底的に休みます。その休止の時にクリスタルボウルを使うことが音ヨガの一番の特徴ですね。
クリスタル(水晶)が奏でる、最高級の癒しの音色。
- クリスタルボウルですか?これもまた、初めて耳にした名前です。
野村 これもその名前の通り、クリスタル(水晶)で出来たボウルです。ヨガで重要なシャバーサナ(一通り動いた後、最後に休止する時間)の際、もっと"リラックスの密度"を上げたいなと思っていたんです。
その時にアップテンポな曲を流しても仕方ないので、さざ波の音や小川のせせらぎの音など、いわゆるヒーリング系を色々かけたりしていたんですが、クリスタルボウルの音は本当に素晴らしくて。
- 素晴らしいというのは、具体的にはどのような感じなのでしょうか?
野村 クリスタルの特性として、音がすごく長く残るんです。そのクリスタルが奏でる独特の音がずーっと響いて、自分のカラダを揺らすような感覚が味わえるんです。
YouTubeで「クリスタルボウル」と検索すれば、雰囲気はつかめると思いますが、正直、生の音を聞かないとその効果は実感できません。動画やCDでは入りきらない、鼓膜でも拾いきれない振動数を感じられるんです。
その振動がカラダの細胞を刺激し、心身に安定をもたらしてくれると言われています。信じられないかもしれませんが、音、空気の振動が癒やしの時間をもたらしてくれるんです。
水晶の音が、カラダを形成する細胞をゆらす、刺激する。
- 音でなく、振動を感じられるんですか?
野村 音って空気が振動して伝わるモノじゃないですか?僕もその感覚はよく理解できなかったんですが、クリスタルボウルの音に初めて触れた時、「音は振動なんだ」、と感じました。
まるで空気が波を打つようで、その波がカラダに当たると細胞を揺らすような感覚になるんです。それを生で体験した時、まるで水の上に浮いているような感覚で、演奏中の30分間は、まさに夢心地でした。
- 空気が波を打ち、その波がカラダに当たる・・・イメージが湧きます。
野村 音って、空気中を伝播(でんぱ)する時よりも、水の中の方が伝播率がよいと言われています。クジラやイルカが、独自の超音波を出してコミュニケーションがとれるのも、水の中だから出来るワケで。
人間のカラダも、約70%が水分と言われていますし、細胞も細胞液の中に浮いているような状態ですから、実はクリスタルボウルの音はカラダの中の水分を伝わって、細胞にも伝播しているんです。
鼓膜で拾いきれない超音波が、人間の中の水を、つまりは細胞を揺らしてくれているような状況で、結果、その振動が心とカラダを安定させてくれるんです。宣伝ではないですけど、これはもう、聴いてもらった人なら確実に実感できると思います(笑)。
(つづく)
野村賢吾 Kengo Nomura
17歳の頃、サンフランシスコに留学してスケートボードに明け暮れる。ヒザの怪我を機にやむなくスケートボードから少し離れ、ヨガに興味を持ち始め練習をスタートさせる。
解剖学的知見からの緻密な練習方法と自由で創造性豊かなビンヤサヨガをベースに"動的瞑想"という独自のスタイルを提唱。ヨガで感じる頭の中の静けさを"音"で表現する『音YOGA』を鎌倉で主宰。photo by Masahiro " Lai " Arai ( SunTalk / LUZeSOMBRA )
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