ビジネスの成功に関係するのは家柄や学業成績ではない。ビジネスを始めた年齢だと、バフェットは言っている。
実際、バフェットは6歳で小さなビジネスを始め、11歳で初めての株式投資を行っている。そこから導いたのが、「雪の玉はできるだけ早く転がし始めたほうがよい」という比喩だ。早く転がし始めれば、それだけ長い時間をかけて雪の玉(ビジネスや資産)を大きくすることができる。「10年遅く固め始めたら、今頃山の斜面のずいぶん下にいただろう」がバフェットの感想である。
一方で、雪の玉が大きくなるには、それなりの人間にならなければならないとも考えている。こう言った。
「よい具合の雪があれば、雪の玉は必ず大きくなる。お金を複利で増やすことだけを言っているのではないよ。この世のことを理解し、どういう友人たちを増やすかという面でもそうだった。時間をかけて選ばなければならないし、雪がよくくっついてくれるには、それなりの人間にならなければいけない」
早くから良い習慣を身につけ、尊敬できる人と働く。そんな自分磨きがあって初めて雪の玉はより大きなものになっていく。
バフェットが尊敬するベンジャミン・フランクリンは正しく生きるために、すべての徳を節制、沈黙、規律、決断、節約、勤勉、誠実、正義、中庸、清潔、平静、純潔、謙譲の13にまとめ、一定の期間どれか一つの徳に集中し、修得できたら次の徳に移ることで、13の徳すべてを身につけようとした。
その結果、実業家としても成功し、政治家としても祖国に大きく貢献し、科学者としても避雷針の発明などができた。バフェットも同様に、正しい思考とふるまいを身につけようと努力し続けることこそが成功につながると幼い頃から信じていた。
「ねたみを避ける最良の方法は、自分が成功に値する人物になることだ」
これはバフェットの長年の相棒チャーリー・マンガーの言葉だ。ひたすらがんばれば成功するわけではない。支えてくれる人に恵まれなければならない。成功するには成功に値する人間になることが必要だ。
執筆:桑原 晃弥
本記事は書籍「1分間バフェット」(SBクリエイティブ刊)を再構成したものです。