来日したフィリピンのドゥテルテ大統領は10月25日、東京・千代田区のホテルで1000人近い在日フィリピン人を前に講演した。ドゥテルテ氏は日本の経済支援に対する感謝の気持ちを表す一方、過激な麻薬撲滅政策を非難するアメリカやEUを「お前はバカだ。今ごろ分かったのか」などと名指しで批判。来日して早々、過激な言動を炸裂させた。
集会に集まったフィリピン人が歓迎する様子などは、フィリピンのメディアABS-CBNなどでも報じられた。
ドゥテルテ氏を迎える大勢の人々(東京・千代田区)
親日家としても報じられているドゥテルテ氏。講演の中では「わが国に最大の支援を実施してくれた」と、日本政府に対して感謝を表明。日本との関係性を強調した。
一方で、最大の政策課題として位置付けて推進する麻薬撲滅対策については、「国内の対策は着実に進んでいる」として、成果をアピールした。フィリピンでは約400万人が麻薬犯罪に関わると言われ、ドゥテルテ氏が大統領に就任してから73万人以上が警察に自首。警察の捜査に抵抗して殺害された人は10月24日現在で1711人、何者かに殺害された人も23日現在で3001人に上る。
朝日新聞デジタルは、「自警団や麻薬犯罪に関わる人の抗争で殺されたケースが多いとされるが真相は不明」と伝えている。
こうした批判についてドゥテルテ氏は「私の麻薬対策を非難しているが、ばかだ」「人権問題の違反を理由に、アメリカは私を刑務所に入れると脅している。ふざけるな」と強硬に反発。会場からは大きな歓声が上がった。
■日本の支援「次の世代でお返しを」 岸田外相との会食で
岸田外相(左)とドゥテルテ大統領(東京・銀座)
講演後、ドゥテルテ大統領は銀座の高級料亭「吉兆」で岸田文雄外相らと東京・銀座の日本料理店「東京吉兆本店」で会食した。外務省によると、ドゥテルテ氏は「フィリピンは日本の支援に感謝しており、自分の世代では無理かもしれないが、次の世代ではお返しをしたい」と伝えたという。
ドゥテルテ氏は中国訪問中の20日、「アメリカとは軍事的にも経済的にも別れた」と発言するなど、アメリカと距離を置く姿勢を見せた。その一方、南シナ海の領土問題を棚上げすることで中国から巨額の融資を取り付けた。その規模は総額135億ドル(約1兆4000億円)に上るという。
ドゥテルテ氏の外交姿勢について、朝日新聞デジタルは「米国への依存を脱却し、外交の多角化を目指しているのは間違いない」との外務省幹部の分析を伝えている。
26日、安倍首相はドゥテルテ氏との首脳会談に臨むが、国際社会から批判される人権問題についてどう取り上げるのか注目される。
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