約70年前に結婚の約束を交わした日本人女性に再び会って、真実を伝えたいーー。
アメリカ・アイオワ州在住、91歳のデュエイン・マンさんが5月頭、Facebookにそんなメッセージを投稿した。その日本人「ペギー・ヤマグチさん」との思い出を細かく綴った内容は世界中でシェアされ、ニュースメディアにも多数取り上げられた。
SNSでそのニュースを知ったネットユーザーの巧みなオンラインリサーチにより、約10日後にはペギーさんと思われる女性が見つかった。ペギーさんは現在、当時の手紙で「結婚した」と綴られていた夫と共に、ミシガン州に住んでいることが分かった。
<これまでの経緯はこちらから>
そこからマンさんやペギーさんの家族、そして地元ニュースクルーも加わり、2人の再会への旅が始まった。
マンさんの住むアイオワ州からミシガン州までは、車で1000キロ以上のドライブ。63歳の息子ブライアンさんが運転し、数日かけて向かった。
約70年の時を経て、ついに再会へ
そして6月1日。ミシガン州のホテルで、マンさんとペギーさんは約70年ぶりに再会を果たしたーー。
再会の一部始終は、5月にマンさんのペギーさん探しについて特集を放送したアイオワ州の地元テレビ局KETVに密着取材され、6月5日に放送された。
「ペギー、How are you?」
息子の隣に座って再会を待つペギーさんの前に現れ、声をかけるマンさん。
ペギーさんは「オーマイガッ」と驚きの表情で立ち上がり、2人は熱いハグを交わした。
すぐに昔を思い出したのか、ペギーさんは「ダンス、覚えてる?」と微笑みながらマンさんに語りかけた。
91歳の2人は、空白の約70年間が嘘だったかのように会話が弾んだようだ。
そして、マンさんが再会を熱望していた理由、ずっと伝えたかった「思い」を打ち明けた。
「僕が君を見捨てた、と君が思っているんじゃないかと、これまでずっと悔やんできたんだ。でも見捨てたんじゃないんだ。ただ君を見つけられなかっただけなんだ」
それに対しペギーさんは、「その思いや、覚えてくれていたこと、ずっと写真を持っていてくれたこと...私のことを愛していてくれたのね」と話し、彼の頬にキスをした。
70年間マンさんの心に重くのしかかっていた気持ちに、ついに終止符が打たれた。
ペギーさんの写真を財布の中に、約70年間持ち続けていたというマンさん。
しかし、相手の事を思い続けていたのは、マンさんだけではなかったようだ。ペギーさんの思いは、財布の中の写真ではなく、同席したペギーさんの息子の名前にあった。彼のミドルネームは「デュエイン」。マンさんのファーストネームと同じだ。
この感動的な2人の再会ストーリーに、SNSでは「涙が止まらない」「ティッシュが必要」「なんていい話だ」など、温かいコメントが溢れた。
再会の旅から無事アイオワ州に戻ったマンさん。ハフポスト日本版のオンライン取材に対し、今の気持ちを伝えてくれた。
「彼女に、僕があの時に見捨てたわけではないと知ってもらえて、ずっと重くのしかかっていた胸のつかえが下りました。ペギーに再会できて最高でした」
2人の再会を特集した、アイオワ州の地元テレビ局KETVによるニュース動画はこちらから。