ショウジョウバエでは腸内微生物相が運動を調節する

キイロショウジョウバエが過活動性の移動運動行動を示すことが報告された。
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nechaev-kon via Getty Images

動物の生存と繁殖にはロコモーションが不可欠であり、これは内因性および外因性の感覚入力によって調節されている。C Schretterたちは今回、腸内微生物相が存在しない状態で飼育された、あるいは抗生物質を投与されたキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)が過活動性の移動運動行動を示すことを報告している。腸内微生物相の欠如による歩行速度や1日当たりの活動量の増大は、ショウジョウバエの共生細菌である乳酸菌Lactobacillus brevisなど、特定の細菌による単一細菌定着によって救済された。L. brevis由来の酵素キシロースイソメラーゼは、ショウジョウバエの糖代謝を調節することで微生物定着がロコモーションに及ぼす影響を再現した。キシロースイソメラーゼがショウジョウバエのロコモーションに及ぼす影響は、オクトパミン作動性ニューロンの活性化あるいはオクトパミンの外因的投与で解消された(オクトパミンは無脊椎動物の神経伝達物質で、脊椎動物のノルアドレナリンに相当する)。これらの知見は、腸内マイクロバイオームが宿主のロコモーション調節において果たしている役割を明らかにするとともに、オクトパミン作動性ニューロンが末梢の微生物からの合図の調節因子であり、動物の運動行動を調節することを示している。

Nature563, 7731

原著論文:

doi: 10.1038/s41586-018-0634-9

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