(GOOD KILL/2014)
このドローンは、現在、日本で問題になっている個人で飛ばせるドローンではなく、無人戦闘機のことである。ちなみに、日本のドローンは、官邸に不時着した件が問題になったが、各地で違う意味での問題を起こし、最近でも国宝の姫路城に激突させるなど、早期の取締りが必要となっているが。
Drone(ドローン)とはもともとは「オス蜂」の意味である。本作品ではアメリカ軍が対テロ戦争等で使用している無人戦闘機のことをドローンと呼んでいる。今回はアフガニスタンのテロリストをピンポイントで爆撃している。操縦士はなんとラスベガスで遠隔操作している。操縦士は一応、戦闘機操縦士の制服を着ているが、街では違和感すらある。
攻撃を受ける可能性がゼロの環境下で、操縦士は遠隔操作(爆撃)するが、それは「テレビゲーム」化している。主人公のトミー・イーガン少佐(イーサン・ホーク)は、以前、リアルな戦闘機に乗っていて爆撃の腕は確かであるが、このテレビゲームの環境には強い違和感を覚えている。日々爆撃を行うが、CIAが入ってくるとさらに爆撃は一般市民にも及ぶ可能性が出てくることになり、ますます精神的に病んできて、戦場でもないのにPTSD(Post Traumatic Stress Disorder :心的外傷後ストレス障害)に苦しみだす。戦場への復帰すら希望するようになる。
筆者は飛行機については少し詳しい方であるが、実はアメリカ軍の戦闘機の計画では、近未来に無人戦闘機ドローンが主力となる。現在アメリカ軍に配備され、日本の自衛隊も導入予定であるステルス戦闘機F35ライトニングⅡ以降では、有人戦闘機の開発計画は基本的にない。(アメリカ空軍には大型機の開発計画は検討中である)ドローンも自衛隊は導入しはじめている。
その中で、ドローンで見る映像に、軍事的なものではなく、モラル的に許しがたい事件が発生する。しかも、毎日、発生する。しかし、軍事的な問題ではないので、公式には爆撃できない。
技術の開発によって戦争の形態が変わってきた。そして、戦闘で最新技術が進んでいく中、逆に主人公は「モラル」とのギャップに悩みが深まる。そして、人としてどうすればいいのかを考え、最終的に行動を起こす。原題は「Good Kill」で、本作品の中では標的(テロリスト)を完全に爆撃したとき「一掃」というような意味で主人公は喋っていた。しかし、本当の意味は「良い殺人」ではないかとも感じさせる。
技術が進化していく中、日本でも、モラルの低下が著しく、さらには犯人が外国人の場合もあるが、ひどい凶悪な事件も多数発生している。また、電車などの交通機関内でも、会社の中でも、司法試験の試験でも、モラルの低下の事件が多発している。
個人的に思うのは、初等教育のうちから「モラル」を教えることが、社会、そして経済の的な安定をもたらすと考えている。最低限の礼節や人を敬う、相手のことを考える(思いやる)態度は、人として必須のことで、最近それが身についていない人があまりにも多すぎると思う。いじめや暴力の問題も、その一つともいえるのではないか。小学校の英語の授業が検討されているがが、それより先に、小学校や中学校では「モラル」の授業をした方が本人のためにも、社会のためにもなる。そして、小さいうちから「生き方」も一緒に考えさせた方がさらに良いのではないか。そうすれば無謀なことをしなくなり、建設的になると思う。社会にでる時にも役に立つ。
監督は『ガタカ』『ロード・オブ・ウォー』『TIME/タイム』などのニュージーランド出身のアンドリュー・ニコル、主演は『恋人までの距離(ディスタンス)』『ガタカ』『ハムレット』『ロード・オブ・ウォー』『トレーニング デイ』『ニューヨーク、アイラブユー』そして『6才のボクが、大人になるまで』のイーサン・ホークである。この監督と主演の関係は『ガタカ』『ロード・オブ・ウォー』に続いて3回目である。しっくりいっている感じもする。
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