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「ドローンで、産業革命に近いインパクトを起こしたい」 テラドローンが世界で勝負をかける理由とは

今はドローン産業の黎明期。ITが産業として急激に発展した状況とよく似ている。同じように私達も今、勝負を仕掛けていく
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「ドローンで、産業革命に近いインパクトを起こしたい」こう語ってくれたのが、テラドローン日本統括責任者の関 隆史さん(28)。物流や交通でのドローン活用はもちろん、人間が行なっていた危険な作業も、ドローンで代替へーー彼らが見据えるのは「ドローン市場」の創造だ。

約1年で29カ国に展開、テラドローンの「グローバルパートナー戦略」

国内最大級のドローンカンパニー、それが『テラドローン』だ。

テラモーターズの子会社であり、今年度には世界No.1の ”産業用” ドローンサービスカンパニーとなることを目指す。

日本発のグローバルメガベンチャー創出を志す同社は、諸外国のドローンベンチャーへの出資・M&A。またジョイントベンチャー設立を積極的に行ない、世界規模でネットワークを拡大させる。

「今はドローン産業の黎明期。ITが産業として急激に発展した状況とよく似ていて。ITで当時、突き抜けた企業はスピードと量で他を圧倒した。同じように私達も「今」勝負を仕掛けていく」

こう語るのが、28歳という若さでテラドローン社の日本統括責任者を務める、関 隆史さんだ

「世界の最先端技術を取り込み、海外を中心に人々の“ペイン”に対してドローンでソリューションを提供したい。世界中のドローンベンチャーに出資しているのもそのため。まだ無名だった頃のUberのような、ポテンシャルある企業を探し出し、リサーチから出資交渉、契約、出資までをすべて自社でやってきました」

関さんは「どんなリサーチ会社よりも多く、そして早く一次情報を取りにいっている」と自信をのぞかせる。

「その結果、約1年で29カ国・20拠点以上(*1)に進出していて。現在も、週・月単位で拠点は増え続けます」

そして2019年、産業用ドローンサービス分野で、シェア1位を射程圏内に見据える。

「世界的に見ても、日本のドローンの測量技術は高度で定評があり、海外でのニーズも高い。更に海外で進んでいる技術に関しては、私達が率先して国内に持ち込み浸透させていく。本気で世界市場を獲りに行きます」

彼らが狙うのはあくまでも世界。そして「ドローン産業」のリーダーへ。より詳しく見ていこう。

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テラドローンについて
2016年に「テラモーターズ」が、ドローンビジネスを行う新会社として設立。「世界のTOP20ドローン・サービス・プロバイダー・ランキング2018(*2)」では、日系企業で唯一ランクインした。国内では大手ゼネコン・建設コンサル・測量会社などに向けて、ドローンを用いたレーザー・写真測量を実施。「日本発グローバルメガベンチャー」を掲げ、産業用ドローンの世界におけるトッププレーヤーになることを目指す。
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日本統括責任者│関 隆史(28)
2014年、新卒で楽天へ入社。UI/UXディレクターとして各種楽天のUI/UXの改善などに関わる。その後、社内ブライダル系の新規事業を立ち上げた後、2017年にテラドローンへ。事業統括・採用・広報を担当した後、翌年には日本統括責任者に。
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海外政府、国営企業からのオファー

「テラドローンに限らず、“産業用ドローン”は各国が抱える社会課題に合わせて、活用の可能性が探られています。今までのセオリーが、世界規模で覆ろうとしている。まさにそんなタイミングだと感じています」

たとえば、医療物資・薬剤の配送が行き届かない地域、陸上運送が困難な地域での物流はわかりやすい。ニュースでも目にする機会が増えてきた。

実際、テラドローンでいえば、海外政府機関や国営企業、JICAをはじめとした機関とともに実証実験を進める最中だ。

「とくにいま新興国ほどドローンの需要が高まっているんです。たとえば、アフリカ・南米は鉱業が盛んな地域。GPSが入らない鉱山や地下でも使えるドローンで測量すれば、安全な作業計画を立てられます。危険な場所での作業時間も減らせる。これまで落盤や爆発事故などが後を絶たず、年間数千人という方が命を落としてしまっているという話もある。そういった課題もドローンで解決していけるのではと考えています」

鉱山での作業代替は一例。とくに「点検作業」においても、彼らが提供する産業用ドローンは活躍のフィールドを世界に広げている。

「中東であればオイル・ガスのタンクがたくさんありますよね。今までは足場を組んで、人が命綱をつけてやっていたような点検作業をドローンで行なえるようになってきました。それに、巨大な風力発電機、送電線の点検もドローンでの自動化を推し進めているところです

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トップクラスの「ドローン測量技術」を、日本から世界へ

とくに彼らが強みとしているのが、「ドローン測量の知見」だ。これまで600件以上のドローンの測量実績を元に、自社開発で各種ソフトウェア・ハードウェアの開発を進め、建設分野での実用化も推し進めている。

「日本のドローン測量はすでに世界トップクラスの域。法整備、規制面でも整備されており、要求精度も高い中で現場をこなしてきたからこそ、世界に誇れる技術になっている。先日はスラウェシ島地震で被災したインドネシアのパルにて、合計で1000ヘクタール以上の復旧工事のための地形測量を完了しました」

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テラドローンインドネシアと国際協力機構(JICA)の参加メンバー。
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さらに、未来に向けて新たな取り組みも。

2020年、国際的なイベントを見据え動くのが、スタジアム警備のプロジェクトだ。

「セコムさん、KDDIさんとともにドローンの自律飛行で警備するプロジェクトも進めているところです。複数台のドローンを飛ばし、画像検知で不審者を見つける。自動追尾をして、警備スタッフを急行させることもできます」

見方によっては「日本のドローン関連の法整備は厳しい」という意見もある。しかし、法改正も含めそういった状況を彼らはポジティブに捉えている。

「いま現在、目視外飛行(*3)は禁止されていますが、今年から2020年代前半にかけて、山間部・離島から都市部へ段階的に実証を行っていく計画となっています。これはパラダイムシフトになる可能性が高い。また、たとえ先延ばしになったとしても、海外で先行して実証実験を行うこともできます。安全性が確保しやすい海外で現場を回し、オペレーションやシステムを構築する。その後に日本をはじめとした先進国に、インストールしていくこともできますよね。規制緩和を待つのではなく、知見を貯めるべき時に、貯められる場所で貯めていく」

ゆくゆく彼らが目指すのは、より安全なドローンの自律飛行の実現だ。

「航空機の ”管制システム” ってありますよね。いつどこで、飛行機が何台、どういう高度、どういう速度で飛んでいるのかがわかる。平たく言うと、そのドローン版を作っています。ドローン運行管理システムがあれば、相互にドローンを制御して運行管理ができる。先日も、福島ロボットテストフィールドにて実証実験に成功しました」

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2019年6月には、福島でドローン運行管理システムの実証実験を実施し、成功を収めた。実験は、台湾政府関係者らが視察している。
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採用強化フェーズであるテラドローン。「拡大フェーズの一員に」と丸紅、伊藤忠、双日など総合商社を中心に、名だたる企業の出身者たちが集まる。「20代~30代前半で海外事業を任されることはあたり前。実際、インドの経営幹部が25歳、CIS統括が30歳、南米統括が31歳、ASEAN統括も32歳。同年代で大陸を統括する人もいます。COOも29歳という若さです」
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僕らが、次なる「日本発グローバルメガベンチャー」になる

そして最後に伺えたのが、彼らの「野望」について。

「我々がドローン市場で挑戦している ”グローバル同時立ち上げ” や、新興国から先進国に持ち込む “逆タイムマシン経営” は、日本のスタートアップとしても新たな取り組みだと思います。まだまだ過渡期ですが、ここから各国一気に立ち上げていく。そしてテクノロジー分野において、日本発・世界に挑戦するスタートアップの一つの成功モデルを作りたい」

そこには、関さん自身の志もある。

「じつは学生時代、閉塞感が漂う日本の社会に嫌気がさしていて。一念発起して、中国に出て販売事業の立ち上げを行ないました。そこでは中国の方に向けて、日本ブランドの女性向け消費財を販売したのですが驚くほど売れたんです。まだまだ日本ブランドの強さを感じたし、もっとやれるのではないかと希望も持てました」

同時に抱いたのが、危機感だ。

「高度成長期以降、ここ10年・20年のテクノロジー分野において、”名だたる日本の企業” が出てきていない。だから、そこを変えていかなきゃいけない。僕らが次なる ”日本発グローバルメガベンチャー” となり、社会に対する大きなインパクトを残していきたい。結果として日本のプレゼンスもアップすれば、僕らの次世代の希望にもつながると思うんです。まずは産業分野のドローンサービス企業として世界1位を狙っているし、獲れると考えています」

新しい革命を起こすーー関さんは自身の仕事観と重ねてこう語る。

「既存の市場で小さくまとまらない。既成概念を壊し、新しい既成概念をつくっていきたい。新たな価値を創造し、社会のスタンダードをつくっていきたいです」

まずは産業用ドローン分野トップに。それは夢ではなく、あくまでも通過点と言えるだろう。目指すのは世界トップ企業。彼のまなざしは、真っ直ぐと「実現すべき未来」に向けられていた。

(*1)2019年7月3日現在
(*2)Drone Indusry Insight社(DRONEII)
(*3)目視(直接肉眼による)範囲外で、無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること