D2ドーパミン受容体は、統合失調症の治療に使われる抗精神病薬の主な標的で、うつ病やパーキンソン病の治療標的候補ともなっている。
しかし、この受容体群についての分子レベルでの理解はまだ限られたものであり、利用可能な薬剤の多くが他のドーパミン受容体にも活性を示し、その結果、深刻な副作用を引き起こす。
今回、B Rothたちは、抗精神病薬リスペリドンと複合体を形成したD2ドーパミン受容体の結晶構造を報告している。
この構造から、近縁のD3およびDドーパミン4受容体で観察されたのとは異なる、リスペリドンの珍しい結合の仕方が明らかになった。
D2ドーパミン受容体では、1個のトリプトファン残基で形成される疎水性のパッチが蓋として働いてリスペリドンの出入を調節している。
この位置に変異が生じると、薬剤がここに結合して留まる時間が短くなり、これが、広く使われている抗精神病薬の副作用に関係すると考えられる。
今回の研究から、D2ドーパミン受容体に選択的でより安全性の高い抗精神病薬を開発する方法が考えられそうだ。
Nature 555, 7695
原著論文:
doi: 10.1038/nature25758
【関連記事】
Nature 555, 7694
Nature 554, 7693
Nature 554, 7691
Nature 553, 7689
Nature 553, 7688