ドーナツを食べながら副業について考える

ネガティブなイメージを一新!副業で日本を活性化~ハフポスト×ランサーズ主催 副業イベント参加レポート~

「副業について面白そうなイベントやっているから一緒に行かない?」

ある日、大先輩の経済ジャーナリスト、上妻英夫さんから電話がかかってくるなり、こういきなり誘われた。

フクギョウ・・・?

恥ずかしながら私は副業に関してまったく興味がなく、むしろネガティブなイメージを大いに持っていた。

私の副業イメージ

①お金に困っている人がやること 

②暇な人がやること 

③会社にばれないようにコソコソやらなければいけない 

④リスキー

などなど、たまにユニークな副業をしている人をメディアで見る程度の私は、"いかにして大先輩に失礼なく断るか?"ということに脳をフル回転させていると、上妻さんから

「じゃ、明後日18:30に渋谷で待ち合わせね(ガチャ)」

ジャックバウアーもビックリなスピードで電話は切れてしまった。なんともまぁ驚くほど心のときめかないお誘いなのだろう。しかし考えてみると、副業についての本も出している上妻さんが誘ってくるのだから、参加する価値のあるイベントのはずだと楽観的に考え、参加してみることにした。

イベントに参加する前、念のため弊社井之上パブリックリレーションズ人事のH部長に副業についての弊社のルールを確認してみると

「本業に支障をきたさないこと、それとどんな副業をするのか上長に報告してくれれば、全然OKよー」との明るい回答をいただいた。そうなのか。。。しかも「応援しているから、頑張れ」なんて背中を押してくださるではないか。なんて寛容な弊社。そもそも私は過去に某映画監督に"渡来敏之(わたらいとしゆき)"と芸名を付けてもらい、本格的に悪役俳優や脚本の仕事をしており、まったくもってPRのバックグラウンドは無かった。そんな、ダイバーシティの権化のような私を雇っている。なんて寛容な弊社。

ということで、参加してきた。渋谷の会場に着くと、比較的若い方が多く、熱気にあふれていた。イベントタイトルは

【#アタラシイ時間】ドーナツを食べながら「副業」について考える!? ~輪になって対話しよう!~

冒頭、ハフポスト編集長の竹下 隆一郎氏の挨拶でスタート。

大手企業が続々と副業解禁し、今年1月には政府が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表するなど2018年は副業元年とも言われているそうだ。

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そしてトップバッターは税理士が教える10の副業の秘密」と題し、税理士の高橋創氏による副業に関わる税講義だ。

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高橋氏によると、副業には正式な開始日を定める必要は特にないようだ。しかしながら税務署への提出書類には記載する必要があるものもあるので、準備を始めた日、仕事をした日、入金があった日など、なんでも良いから決める必要がある。そして帳簿が付けやすいので副業用の別口座を作ることを推奨していた。

確定申告については原則、計算の結果所得税が発生する人は確定申告の義務があり、税額はなくとも還付があるならした方が良いとのこと。そして副業で認められている経費とは、原則商売をするためにかかったものは必要経費であり、金額や割合などの縛りは無いようだ。

しかしながら、副業においては経費なのが生活費なのか曖昧なものが存在する。例えば自宅での作業における家賃や、喫茶店などで作業する際の御茶代などだ。それは自分が経費だときちんと説明できるのであれば経費として認められることが多いと言う。要は「コレコレこういう理由で、これは経費として計上しています」というしっかりしたエビデンスがあれば良いのだ。そして確定申告書を提出し、税務署が受理したからといって"経費で落とせたことが決定!"という意味ではない。税務署は機械的に受理しているだけであり、「これは全部経費でいいYO!」と承認されたわけではないので、要注意だ!

高橋氏ご自身も、副業で新宿ゴールデン街にてお店をやっており、ことのほか身近に感じる税講義をしてくれた。

その後、「副業解禁企業者ブース」、「副業未解禁企業者ブース」、「解禁したて企業ブース」、「成功している解禁企業ブース」など、いくつかのブースに分かれ、それぞれ副業の先進的な取り組みをしている講師を中心に輪になって座談会。

ブース構成はこうだ!

1.副業解禁企業者ブース   :岡 直哉 氏(ヤフー株式会社)

2.副業未解禁企業者ブース  :岸 健二 氏(コクヨ株式会社)

3.解禁したて企業ブース   :中尾 陽平 氏(株式会社新生銀行)

4.成功している解禁企業ブース:石田 恵一 氏(ソフトバンク株式会社)

5.ソーシャルアパートメント住人副業ブース:清水 正樹 氏(株式会社エンファクトリー)

私は新生銀行グループ人事部マネージャーの中尾氏のブースにいった。頭の固そうな銀行業界の改革を聞きたかったからだ。まさにイベントタイトルのごとく、輪になり講師と近い距離でドーナツを食べながら対話。

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左から2番目が新生銀行の中尾 陽平氏

ランサーズのプレスリリースによると、副業人口はフリーランスの7割を占める744万人と増加傾向にあり、個人においても副業という働き方が広がっているという。しかし、副業を禁止する企業も多く存在し、解禁した企業においても実態は公開されていないのが現状であり、まだまだ副業者の実態はわからないことが多い。

そのような中で新生銀行は本年4月、大手銀で初めて兼業と副業の解禁に踏み切った。中尾氏は「(新生銀行は)就業規定を改め合計約2,700人を対象に、本業と並行して異業種の仕事に就くことを認めた。副業は日本にとってイノベーションが起きやすい。日本の働き方が変わる。本当にシナジーを感じている。副業を始めることでもっと本業で成果を出そうと思うものだ」と語り、多様な働き方を促し、本業に還元してくれることを期待しているようだ。ガチガチな銀行業界に新生銀行は風穴を開けた。他の大手銀行などもこれからどんどん多様な働き方を認め、人材集めにも副業を生かしていくだろう。

最後に「副業のリアルについて、企業と個人が語り合う」と題して、パネルディスカッション。パネラーに岡 直哉氏(ヤフー)、岸 健二氏(コクヨ)、中尾 陽平氏(新生銀行)、石田 恵一氏(ソフトバンク)、そしてハフポストの竹下編集長がコーディネーターとしてディスカッションをした。

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左から竹下氏、石田氏、中尾氏、岡氏、岸氏

ソフトバンク(株)人事本部 人事企画部 労務厚生企画課 課長の石田氏は「ソフトバンクは副業に様々な支援をしている。副業の良いところは、武者修行して本業に生かせるところ。専門スキルを持っている社員が多く、講師業などを副業にもつ社員が一番多い」という。また「副業には企業にとってもメリットが多々ある。講師業などをするには常に専門性を磨いていかなくてはならず、そのスキルアップは本業にも生かせている」と語っていた。

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またご自身でも楽曲提供などの副業をしているコクヨ(株)ファニチャー事業本部 販売マーケティング部の岸 健二氏は「いまだコクヨは副業を表立って解禁していない」という。その上で「恐る恐る人事総務に相談したところ、意外にも"競合しない"、"会社に迷惑をかけない"など、当然ともいえる条件で許可を取ることができた」とのこと。そして「副業は自分の可能性を開き、人生を豊かにしてくれるもの」と語っていた。

副業のデメリットについて新生銀行の中尾氏は「社員の健康管理。熱中するあまり深夜に及ぶ作業になってしまうこともあるようで寝不足が続いている社員を見かける。しかしデメリットについてはそれくらいで、自分の好きなことや専門分野の強みを生かしている人は本当に生き生きとしており、良い意味で社内をかき回してくれている。そういうメリットが副業にはある。今後企業は多様な働き方に対応しなければいけない人事のスキルが必要」と話した。

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ヤフー(株)IDサービス統括本部 マーケティング&コミュニケーション本部 コミュニケーションデザイン室 兼 ブランドマネジメント室の岡 直哉氏は休日に副業としてランサーズで働いている。ランサーズを始めた理由は、デザインスキルの向上のためのようだが、ランサーズで得た報酬で、結婚式をあげられたそうだ。岡氏は「デザインの副業は副業とは思っていない。自分の好きなことをやっているだけで意外に強気でやっている。お金が第一目的だと続かないかもしれないが、好きなことをするということが大事だと考えている」と話し、続けて「副業は気負わないことが大事。気軽に考えて自分のスキルの強みを深堀していけばよい。自分の強みが分からなければ、まずはランサーズなどのプラットフォームを活用して自分の強みを見つけていけば良いのでは」と語った。

そして最後に竹下編集長が「個人も企業も副業のマインドを変えて上手く活用していけば、最高の働き方改革になり、GDPも上がる。日本が底上げされて活性化され、どんどん面白い国になってくる」と締めくくった。

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私自身、本イベントに参加して、"副業の本質"に触れて今までのネガティブなイメージが払拭された。副業の楽しみ方やコツなど、私も自分の将来や可能性について真剣に向き合う良いきっかけとなるイベントであった。

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終了後、ビールを片手に日本の副業事情について熱く語る上妻さん。

今宵は終始ご機嫌の上妻さんであった。