虫がいないドングリの見分け方 ドングリ博士の着目ポイントはここだ

ドングリの腹にある穴のほかにも、チェックポイントがあるという。
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どんぐり
ウェザーニュース

公園で子どもと一緒に拾ってきたドングリ。箱に入れておいたら、いつの間にか虫が出てきて、慌てて捨てたという経験はありませんか。拾ったドングリに虫が入っているかどうかの見分け方、たとえ虫が入っていても出てこない“封じ方”があるのです。

 

7割が“ドングリ虫”の経験あり

公園や雑木林でドングリを拾ったことがある人は多いでしょう。ウェザーニュースでは昨年2020年11月に「ドングリから虫が出てきた経験は?」というアンケート調査を実施しました。(2020年11月15〜16日実施、6,409人回答)

虫を見た事が「ある」(37%)と「虫食いの穴は見た」(34%)の合わせて約7割の人が“ドングリ虫”を経験していました。

また、ドングリを「持ち帰った経験なし」という回答はわずか6%のみという結果に。9割以上の人がドングリを持ち帰ったことがあることが分かりました。

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アンケート結果
ウェザーニュース
 「いわゆるドングリ虫はシギゾウムシやチョッキリなどのゾウムシの仲間です。成虫は体長1cm足らずですが象のように長い「鼻」(正確には口吻)を持ったコウチュウ目の昆虫です。ドングリが枝と一緒に落ちていたら、ハイイロチョッキリの卵が中に入っていると思ってください」というのは、大阪府立自然史博物館の学芸員、通称「ドングリ博士」の横川昌史さんです。


ハイイロチョッキリはドングリに産卵後、枝を切って落とすという、とてもユニークな行動をとると言います。

青く未熟のドングリに卵を産みつける

「ドングリ虫はまだ青く未熟なドングリに卵を産みつけます。卵を産みつ付けられたドングリをよく見ると、“帽子”に直径1mmに満たない産卵跡があるのがわかります。拾ったドングリの腹に穴が開いていることがありますが、これはドングリの中で成虫になったドングリ虫が出てきた穴です」(横川さん)

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どんぐりの穴は虫が出てきた跡
ウェザーニュース
ドングリを拾うときは、“帽子”の近くに産卵跡がないか、虫眼鏡で確かめると虫がいないドングリをゲットできるかもしれません。

虫が多いドングリと少ないドングリ

ひと口にドングリと呼んでいますが、ドングリは様々な堅果類の種子です。虫が付きやすいドングリと虫が付きにくいドングリがあるのでしょうか。

「コナラやクヌギのドングリには虫が多いようです。京都でハイイロチョッキリの産卵について調査した人がいますが、コナラのドングリは約7割に虫がついていたそうです」(横川さん)

ドングリにとって、ドングリ虫に産卵されると実を食べられて発芽できなくなることがあります。ドングリ虫に産卵されることはドングリのなる木にとっては良いことではありません。

ドングリを“虫封じ”するには?

拾ってきたドングリを並べて遊んだり、顔を描いて楽しもうと思っていたのに、虫が出てきたら幻滅です。どうしたらよいのでしょうか。

「ドングリの“虫封じ”はいろいろありますが、手軽なのは家庭の冷凍庫に2〜3日入れておくことです。ドングリの中の虫が凍死するので殻を破って出てくることはありません。熱湯で10分ほど煮沸しても“虫封じ”ができます」(横川さん)

お子さんと一緒のドングリ拾いや工作は思い出作りにもなります。産卵跡のないドングリを選んだり、たとえ虫が入っていても出てこない“虫封じ”をして秋ならではのドングリ集めや工作を楽しんでみてはいかがでしょうか?

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