7月27日、フロリダで会見するドナルド・トランプ氏
アメリカ大統領選の共和党候補になった実業家のドナルド・トランプ氏は7月27日に会見で、「ロシア政府が民主党候補のヒラリー・クリントン氏のメールをハッキングしてほしい」と述べた。
これは、民主党全国員会（DNC）の幹部が、クリントン氏に肩入れして、候補指名を争っていたバーニー・サンダース上院議員を勝たせないように仕向けるメールのやりとりが内部告発サイト「ウィキリークス」に流出した件が、ロシアによるハッキングだった可能性が指摘されていることにトランプ氏が言及したものだ。
「ハッキングをしたのであれば、ロシアはおそらくクリントンの3万3000通のメールを持っている。私は彼らが持っていることを願っている」と、トランプ氏はフロリダ州ドラルにあるプライベートリゾート地で行った会見で語った。
トランプはハッカーがクリントンの使用メールサーバーにもアクセスしていたことを望んでいると述べた。「彼らはおそらく彼女が削除した3万3000通のメールを持っている」
トランプはその後ロシアに直接呼びかけ、こう述べた。「ロシアよ、もしもあなた方が聞いているなら、失われた3万通のメールを見つけるように願う」
トランプ氏は、アメリカのサーバーが別の国家にハッキングされたことを積極的に支持する発言をした。アメリカの行政機関の極めて重要な不文律を破った。
政党や政策に関係なく、アメリカの公人はアメリカの国益と安全を守らなければならない。トランプ氏は7月27日、正反対の発言をしたことになる。
トランプ氏の記者会見とほぼ同時刻に、副大統領候補のインディアナ州知事マイク・ペンス氏は、トランプ氏の発言とは距離を置く声明を発表した。「もしロシアが、私たちの選挙を妨害しているのなら、共和・民主の両党、そして合衆国政府に深刻な結果を招くことになる」と、ペンス氏は述べた。
前米国防長官・米中央情報局（CIA）元長官のレオン・パネッタ氏はトランプ氏のコメントに対し、「こうした類のコメントは理不尽としか言いようがない」と述べた。「大統領候補が、ロシアにアメリカの政治に首を突っ込むよう頼んでいる。常識外れもいいところだ」
パネッタ氏はクリントン氏を支持し、「こうした声明は（トランプ氏が）アメリカ合衆国大統領にふさわしくないという事実を明るみにしただけだ」と語った。
それでもトランプ氏は、記者会見後、Twitterでクリントン氏のメール問題に関してさらに突っ込んだ発言をした。
もしロシアが、または他の国や人が、ヒラリー・クリントン氏が不法に削除した3万3000通のメールを持っているのなら、FBIにシェアすべきだろう！
3万3000通というのは、クリントン氏がやり取りしたメールのうち、自分自身と彼女のスタッフが娘のチェルシー・クリントンさんの結婚式に関してやりとしたものを含む”個人的でプライベートな"情報を含んでいるとして、サーバーからの削除したメールの件数だ。
FBIのジェームズ・コミー長官は2016年はじめ、クリントン氏が国務長官在任中に使用した私用メールサーバーについて捜査し、クリントン氏とスタッフは文書の扱いが"極めて軽率"だったが違法ではなく、刑事訴追は適切ではないと司法省に勧告している。
共和党のポール・ライアン下院議長も、ロシアがアメリカのサーバーにハッキングすることはあってはならないと批判している。「ロシアは腹黒い悪党に率いられた地球規模の脅威だ。プーチンはこの選挙に関わるべきではないと、ライアン下院議長のスポークスマン、ブレダン・バック氏はバズフィードニュースに述べた。
トランプ氏は、プーチンがアメリカの選挙に関わるべきかどうかコメントを避け、集まった記者たちに「プーチン氏に指図をするつもりはない。なぜ私がそうしなきゃいけないんだ？」と語った。
クリントン氏陣営は、トランプ氏の発言にすぐ反応した。
「主要国の大統領候補が、外国の権力者に向かって、積極的に自分の競争相手に対するスパイ活動を推奨した。こんなことは初めてだ」。クリントン氏の顧問ジェイク・サリバン氏は27日、取材陣にこう述べた。「これはもはや、トランプ氏が好奇心の対象になっているとか、彼の発言が政治的問題になるといった次元を超えている。これは、国家安全保障の問題だ」
ハフポストUS版編注：ドナルド・トランプ氏は世界に16億人いるイスラム教徒をアメリカから締め出すと繰り返し発言してきた、嘘ばかりつき、極度に外国人を嫌い、人種差別主義者、ミソジニスト（女性蔑視の人たち）、バーサ―（オバマ大統領の出生地はアメリカではないと主張する人たち）として知られる人物である。
ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。
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