和歌山県太地町の「追い込み漁」で捕獲されたイルカを、国内の水族館の多くが入手できなくなることになった。日本動物園水族館協会(JAZA)が5月20日に会見を開き、荒井一利会長が「追い込み漁で捕獲したイルカの入手は行わないこととする」と述べた。
世界動物園水族館協会(WAZA)は追い込み猟を問題視したことが原因。JAZAに対して4月22日「全ての会員に対し、残酷で手段を選ばない方法で、自然界から動物を捕獲するやり方を禁じた方針に忠実であるよう求めている」として、1カ月以内にイルカの購入をやめなければ、協会から除名すると通告した。
そこでJAZAは、WAZA加盟継続の賛否を問う会員投票を行った結果、「残留」が99票。「離脱」の43票を上回ったため、WAZAに従うかたちで残留を決めたという。荒井会長は「協会として日本政府が推進している追い込み猟を否定しているわけではない。WAZAにも再考を要請したが受け入れられなかった」と、苦渋の決断だったことを明かした。
■多くの水族館で「追い込み漁」のイルカを購入
JAZAには国内の89の動物園と、69の水族館が加盟している。NHKによると2012年末の時点で、このうち34の水族館で合わせて287頭のイルカが飼育されているが、多くの施設が和歌山県太地町の追い込み漁で捕獲されたイルカを購入していた。
JAZAに加盟する水族館は今後は太地町からイルカ購入ができなくなるため、子供たちに人気のイルカショーなどの運営に支障が出る恐れがあるという。
太地町のイルカの追い込み漁は、捕鯨に反対する環境保護団体などからの批判が強まっている。追い込み猟を批判的に描いたアメリカ映画「ザ・コーヴ」は、2010年にアカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を受賞した。駐日アメリカ大使のキャロライン・ケネディ氏も1月18日、「米国政府はイルカの追い込み漁に反対します」とTwitterに書き込んでいた。
ハフィントンポスト日本版はTwitterでも情報発信しています。@HuffPostJapan をフォロー