「独身税」という言葉が9月1日、ネットを席巻した。
8月30日付の北國新聞の記事がきっかけだった。石川県かほく市役所で29日、子育て中のママがまちづくりに参画する「かほく市ママ課プロジェクト」のメンバーと、財務省の予算編成担当者の意見交換会が開かれた。市内の30~40代の女性7人が参加したという。
メンバーから「結婚し子を育てると生活水準が下がる。独身者に負担をお願いできないか」という質問があり、阿久澤氏は「確かに独身税の議論はあるが、進んでいない」と述べたという。
独身税の提案は、一般市民と官僚の意見交換会の席での発言に過ぎなかったが、ネット上では独身税というパワーワードをめぐる議論がヒートアップした。
「結婚という個人の選択を納税基準にするのは迫害行為」「結婚したくても出来ないのに」「シングルマザーにも課税するのか」「同性愛者にとっても失礼じゃないか」などと憤る声が続出した。
■独身税とは?
このように反発が広がった独身税だが、外国では実際に導入された前例がある。東ヨーロッパのブルガリアだ。
少子化対策の一環として、共産党政権が1968から89年まで21年間にわたって導入した。マイナビニュースによると、独身者のみ収入の5~10%を税金として徴収するものだったが、実際には出生率は伸びなかったという。
また、1987年1月14日付の朝日新聞では、当時の旧ソ連では子どもがいない夫婦、独身の男性には賃金の6%というかなり高い「子なし税」あるいは「独身税」がかけられていたと報じている。
日本でも2004年に自民党の子育て小委員会で、柴山昌彦・衆議院議員が「暴論ではあるが独身税をやってはどうか」と提案したことが話題になっていた。