犬は、人間のことを理解する優れた力を持っている。人間が命令する声を理解できるし、何かを指差せばそれが何を意味しているかを、チンパンジー以上に理解できるという。また、最近は犬は人間の顔の表情まで読み取れるということも分かってきている。
そして今度は日本の研究者たちによって、「人間が犬をだまそうとすると犬にはそれがわかる」ということを示す新たな研究結果が発表された。
学術誌「Animal Congnition(動物認知)」オンライン版に2014年10月28日付けで発表されたこの論文の共著者で、京都大学大学院心理学研究室の非常勤講師、高岡祥子氏は、BBCに次のように語っている。
「犬には、一般に考えられているよりも優れた社会的知性があります。この犬の社会的知性は、人間とともに暮らしてきた長い歴史の中で、選択的に進化してきたものです」
この研究は、ペットとして飼われている34匹の犬を対象に、1人の人間が、おやつが入った食器と何も入っていない食器の両方を使って犬の反応を調べるという形で行われた。
実験の方法は次の通り。まず実験の第1段階で、人間がおやつの入った食器を指差す。これは犬にとって「良いアドバイス」だ。そして第2段階では、犬に両方の食器を犬に見せた後、今度は空の食器を指差す。その後第3段階で、第1段階とまったく同じように、再びおやつの入った食器を指差す、というものだ。
この実験の結果、第1段階と比べて第3段階では、犬たちが人の指差しに素直に従わない傾向が明らかに強かった。これは、人間が犬をだまそうとすると、犬はそれに気付いてその人をあまり信頼しすぎてはいけないと学ぶことを示唆している。
実験を行った研究グループは、論文の概要に次のように記している。「これらの結果が示すのは、犬が人間の指差しジェスチャーをよく理解する能力を持つだけでなく、指示を出す人間を信頼できるかどうかについても推測し、さらにそうした推測に応じて柔軟に行動を変えるということです」
犬をだまそうと考えるのは、あまり賢明なことではないかもしれない。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:水書健司/ガリレオ]
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