「親子断絶」を防ぐ法案成立に潜む大きなリスク

面会交流は非常に重要である。しかし、今のままではあまりにも危険が多い。

親子断絶を防ぐ法案が、ここに来て俄かに法案提出されそうである。しんぐるまざあずふぉーらむの赤石さんが懸念を示されているが、私も、拙速な法制化には反対である。

離婚した後も、親は親であり、だから、母子家庭でも、時々別れたお父さんと会う事は良い事だと、私も思っていた。だから、この法律もいいんじゃない?と思っていた。

しかし、キッズドアを始めてそんなに簡単ではないという事を思い知った。

面会交流、アメリカ映画に出てくるような、リュックをもった子どもが、迎えにきたハンサムなパパと一時を過ごす。そして、ハグをして、お別れのキスをして、パパと別れママの元に帰る。

そんなイメージを持っている方も多いだろう。

しかし、実態は、そんなきれいごとばかりではない。

面会交流が法で義務付けられ、別れた父親がそれを権利として主張した時、どんなことが起こるか?

具体的に想像してみてほしい。

少し本筋から離れるが、日本のひとり親家庭の貧困率は先進国で最悪。一方母子家庭の就労率は世界でもトップクラス。ワーキングプアで子どものために自己犠牲の一生となり、最悪命を削って、本当に早死にしたりする。母子家庭になると生活は非常に厳しくなる確率が世界一高い。

こういう話を講演などですると

「それなら別れなければいい。離婚を禁止すればいい。」

とおっしゃる高齢男性がいて、苦笑する。

がおっしゃる通りで、日本では離婚をして母親が子どもを引き取っても、いいことは何もない。アメリカでは離婚をすれば慰謝料で大金持ちになる人もいるようだし、ヨーロッパでは、子育てや教育に関する費用は国が税金で負担してくれるので、離婚をすると貧乏真っ逆さまというような事態にはならない。

そんな苦労がわかっているのに、別れずにはいられないから、苦労を飲み込んで離婚するのである。

全く働かずに、妻のパートの稼ぎでギャンブルしたり、酒を飲んだり。それを拒めば、殴る、蹴る。

こういう例は決して少なくない。

ちなみに、日本の養育費の支払い率は2割を切っている。多くの親が、養育の義務を果たしていないのに、面会の権利を保障する事がどれだけリスクがあるか、想像してみてほしい。

月に1度は、面会交流で父親の元に行き、溜まりに溜まった家事をさせられるような事にならないか?

権利だからと父親が子どもを連れて行き、いかがわしい飲食店の手伝いをさせられたりするリスクはないだろうか?

毎回、聞きたくない母親の悪い点を延々と聞かされることにならないか?根ほり葉ほり、母親の私生活を聞き出されて精神的に参ってしまわないだろうか?

性的虐待を受けていたら、どうなるのか?

面会交流は非常に重要である。しかし、今のままではあまりにも危険が多い。

このままでは、日本の男性は、結婚して子どもを作って、離婚して養育費は一切払わず、でも子どもと会うことは保障されていて父親としての喜びは、日々の子育ての苦労や経済的負担は一切なく感じることができる。

まさに男性にとっての離婚天国になるだけである。

どう考えてもおかしい。

議員の皆さん、どうか冷静に考えてみてください。