ディズニーの研究機関 Disney Research が、複雑な歩行ロボットを誰でも簡単に設計できるシステムを発表しました。二足歩行から五本足まで、関節の数や体型、歩き方の個性などを簡単な GUIでカスタマイズすれば、つじつまの合う歩行モーションを自動的に生成してくれます。
結果はそのまま3Dプリンタ用のデータとして出力可能。市販のサーボーモーターを加えるだけで、設計そのままのロボクリーチャーが実体化します。
システムを開発したのはチューリッヒ工科大の Vittorio Megaro、ディズニーリサーチのBernhard Thomaszewski、Maurizio Nitti、カーネギーメロン大学(CMU)のStelian Coros ら。
格好いい多脚ロボットや生物風のロボットは誰でもイメージできますが、実際のそのロボットがどの足をどの順番に動かすのか、同時に地面に着いている足は何本なのか、まではなかなか思い浮かびません。
歩くロボットを簡単に作れるキットも動きを振りつけるソフトも市販されていても、足の長さや本数、関節の数、歩き方まで独自に設計して倒れないよう歩かせるのは専門的な知識が必要になります。
ディズニーリサーチが発表したシステムは、インタラクティブに多くの要素を簡単にカスタマイズしつつ、一番面倒なところは機械に生成させる汎用システムです。
システムで作成された「クリーチャー」。いかにもな逆関節二足ロボから、哺乳類風、甲殻類風、背骨もくねくねと動かす爬虫類風まで。
形態だけでなく、カサカサと忍び寄るように動くのか、ヒョコヒョコとコミカルに動くのかまで、動きの個性まで足の軌跡からGUI指定可能なのが面白いところ。
ゴールを指定して複雑な関節の動きを生成するIK (インバースキネマティクス)は現実のロボット工学でも、CGアニメの振り付けでも重要な手法ですが、ディズニーリサーチのシステムは部分的なカスタマイズを反映しつつ複雑な歩行を自動生成する点、設計や動きの簡単な入力インターフェースが特徴です。
シミュレーションと、実際に3Dプリンタで出力してサーボモーターを加えた実物。
現時点での制約は、馬のギャロップのようにすべての足が地面から離れる(浮遊期のある)走り方ができないこと。演算効率の事情から歩行モデルと実際の動きに多少の差があり、条件により不安定になること。
また足運びのみのデザインなので、段差を乗り越えたり障害を察知したり、同類ロボ以外の存在こそ本質的な障害と判断して人を襲い始めるetcにはまた別の工作が必要です。元論文 Interactive Design of 3D-Printable Robotic Creatures
はリンク先のDisney Researchページヘ。将来的にはゲームやアプリで悪夢のような生物ロボットを作ると、実物が歩いて家に届くといったサービスもできるかもしれません。
(2015年11月25日 Engadget日本版「五本足も多関節も自在。ディズニーが多脚ロボ生物の自動設計ツールを開発、そのまま3Dプリントで可動」より転載)
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