週刊文春によると、公開された音声は5月6日の関学戦後、内田氏が取材陣に話している内容を録音したものとされる。内田監督はこの中で、危険タックルをした選手のプレーについて「だから、そろそろ良くなるんじゃないですかね。法律的には良くないかもしれないけど、そうでしょ」などと肯定的に評価。記者とみられる人物の「書き方が難しいな。ラフプレーはやっぱり難しい」という発言に、「内田がやれって言った、でいいじゃないですか」と返している。
「内田前監督が、危険タックルを指示したかどうか」は、内田氏と選手との間で証言が食い違い、この問題の大きな争点となっている。
選手側は5月22日の記者会見で、内田氏とのやり取りを説明。「潰す」という指示を、コーチや先輩との説明から「怪我をさせるという意味で言っているんだと思った」と話した。内田氏にも直接「相手のクォーターバックを潰しにいくので使ってください」と伝えところ、内田氏から「やらなきゃ意味ないよ」と言われたと証言している。
対して内田氏は、反則行為の指示を否定している。5月23日の会見でも危険タックルについて「私の指示ではござません」「まさかああいうこと(危険タックル)になってしまったのは正直、予想できなかった」などと話した。
週刊文春デジタルに公表された音声によると、監督と報道陣は、次のようなやりとりを交わしていた。
――前なら、反則取られる前に交代になるのかなと思いましたけど。
「だけどやっぱり、僕、相当プレッシャーかけてるから」
――その、A(危険タックルをした選手名)に対して?
「Aでも、全部、ディフェンスでも」
「飛び込んでみないと分からないから、どういう世界か。だけど、まあ、そういう風に僕が持っていってるから。そういう方向に。それが反則であるっていうのであれば僕の責任だし」
「こんなこと言っちゃ悪いんだけど、Aはよくやったと思いますよ。もっといじめますけどね。だけど、そうじゃなかったら、関学みたいなチームに勝てないでしょ。
「だから、そろそろ良くなるんじゃないですかね、A。法律的には良くないかもしれないけど、そうでしょ」
――書き方が難しいな。ラフプレーはやっぱり難しいですわ。
「内田がやれって言った、でいいじゃないですか」
――いやいや、それはそれで。
「あのぐらいラフプレーにならないでしょ」
――正直、ちょっとひどかった。
「ひどかった?」
――ひどかったですよ。あれは笛鳴った後ですから。
「昔、僕ら毎試合やってたよ」
***
内田監督は5月23日夜の記者会見で、危険タックルの場面を「見ていなかった」と弁明したが、ここでは「あのぐらいラフプレーにならないでしょ」「僕ら毎試合やってた」などと話している。
危険タックル問題をめぐっては、被害者側が被害届を警察に出したとしているほか、日大側も第三者委員会を設置して調査を始めると発表。被害者の父親も5月24日朝に「前監督は一切の関与を否定。これでは選手が、可哀想」などとして、試合中の動画提供を呼びかけるなど、事態はまだ収束を見せていない。