「海外で働きたいっていう漠然とした憧れが、幼い頃からあって」こう教えてくれたのが足立愛樹さん(29)。マネージャーとして、中華圏の日系営業をリードする人物だ。「AnyMind社は次々と海外拠点を立ち上げ、各地でローカル向けビジネスを加速させるフェーズ。このチャンスは逃がせない、飛び込むなら今。そう思ったんです」
デジタルマーケティング × AIで急成長
2016年、日本人が単身、シンガポールで起業。
AIを活用したSaaSを提供するAnyMind Groupは、いまやアジア11市場13拠点を展開するグループへと成長した。
企業規模も拡大を続ける。創業からわずか3年足らずで、従業員数は約400人に。各拠点にはアジア圏のみならずヨーロッパ圏も含め、およそ20ヶ国からスタッフが集う。
アジアを主戦場に、海外売上高は全体の70%
同社最大の特徴の1つが、海外における強さと言えるだろう。
仕掛けるのは、あくまでローカル企業向けのビジネス。2017年度計上した28億円の売上のうち “70%” が海外によるものだ。
「創業時…といってもまだ3年前の話なのですが、当時はアジアにおけるデジタルマーケティングのプレーヤーがまだまだ少なかった。今後ネット広告やデジタルマーケティングの領域が拡大していくことは明白ですよね。それなら日本で起業するよりも、ブルーオーシャンで勝負した方が一気に成長できる。そこからAnyMind は始まりました。」
こう語ってくれたのは、27歳で香港拠点の立ち上げを担った足立愛樹さん(29)。現在、マネージャーとして中華圏の日系営業を管轄する。
「中華圏では、アリババ、テンセントの次にAnyMindの名前が挙がる状況を作りたい。そしてアジアトップの企業という立ち位置を確立していく。”世界で戦いたい” と考える人にとって、非常にワクワクするフィールドだと感じています」
彼のエピソードとともに、同社で描けるキャリアを見ていこう。
異国の地で拠点立ち上げ。ひた向きに吸収する日々
足立さんが27歳で入社し、はじめに任されたのは、香港拠点の立ち上げだった。海外ビジネス経験がない中で、彼は一体どう市場を切り開いていったのか?
「そもそも私は香港のことが何もわからなかった。だからこそ、期間を決めて始めはとにかく行動で埋めました」
″ある意味、かなり泥臭かったかもしれない” と笑う足立さん。そこには、地道な積み重ねがあった。
「とにかくひたすら、香港のことを知るために動きました。現地の人がどういった生活を送っているのか、このエリアにはどんな層が住んで、どんな企業が集まるのか。政治的な状況も学びました。ビジネスの交流会が開かれると知れば全て出ましたし、あらゆる日本人コミュニティにも顔を出して。赴任から3ヶ月半で200社以上の方々と知り合うことができた」
拠点が軌道に乗るまでの間、足立さんは一人何役もの役割を果たす。一例を挙げれば、市場のリサーチからセールスの仕組み作り、経理、採用、広報周りのことまで現地スタッフと共に創り上げてきた。イチから学びながら、体制を整えていったという。
「この組織にとって良いと思った事は、すべて動いていきました。逆に、そこまで自由にできる環境があると言えるのかもしれません」
現地を熟知したローカルスタッフとの二人三脚
AnyMindで非常に重要になっているのが、ローカルのスタッフの力だ。
「たとえば現地で長期的に組織を成長させたいなら、何も知らない日本人よりも、現地を熟知したローカルの人の方が伸ばせますよね。香港拠点においても、ローカルのカントリーマネージャーを起用し、その人が拠点を引っ張っていくという方針です。今日明日の短期的なチーム編成と、中長期のストラクチャー形成とを同時並行で行うことはかなり大変ですが、これができたからこそ、今も成長し続けられていると思っています」
前職時代から合わせると、8年近くデジタルマーケティングに携わってきた足立さん。AnyMindがアジアで勢力を伸ばす理由をこう語る。
「ローカル企業から信頼されない限り、ビジネスを伸ばすことはできません。それに、ローカル企業が求めるものと、現地日系企業が求めるサービスも、大きく異なります。日本のビジネスの感覚や、過去の成功体験をいかに一度捨てられるかが重要で。ゼロベースでどうビジネスをしていくか考える。これを続けられるのが、僕たちの強みなのかもしれません」
「いつか」 では遅い。身一つで日本を飛び出した
「27歳の僕を突き動かしたのは、海外で働きたいというシンプルな想い。幼い頃から憧れもあったし、社会に出て一層その想いは強まりました」
そんな中、紹介を通じてAnyMindの存在を知る。
「外国人を相手にビジネスを行う日本の会社、その中でもデジタルマーケティングとなるとかなり限られてくるもの。だから海外に行けるというのは本当にチャンスだと思ったんです。”いつか” では遅い。今このチャンスを逃すわけにはいかない。今、動かねばと」
こうして転職を決意したという。
しかし足立さん、こんな壁もあった。
「実は…英語が全然できないという自覚もあって。いつでも海外に行けるように、ビジネスパーソン向けのパーソナルトレーニングに通ったこともありました。ただ、今振り返ってみれば、現地に飛び込んでとにかくやってみるのが一番自分には手っ取り早かった(笑)」
身一つで日本を飛び出し、現地で圧倒的な経験値を積む。そうやって足立さんは成長を遂げてきたのかもしれない。
世の中に自分の足跡を残したい、その方法が「働く」ことだった
最後に伺えたのが、足立さん流の仕事観。足立さんにとって働くとは、どういうことなのだろうか。
「たとえばアートとかスポーツをやる人って、それが好きだったり得意だったりするから、皆やると思うんです。それが僕にとってはたまたま仕事だっただけ。感情や想いを表現できるものだし、自分にとっては仕事が一番社会に価値を提供できるツールなのかもしれません」
日本出張の短い合間を縫って、取材に応じてくれた足立さん。最後にこう締めくくってくれた。
「肌でも感じているんですが、東南アジアって今日より明日がよくなる場所なんですよね。これから必然的にニーズも増えていくし、マーケットもどんどん大きくなる。その時に、デジタルマーケティングで1番支援できる会社になっている、そんな景色を見たいんです」
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