知事と代議士、両方経験をした人は何人もおられるが、多くの場合は、代議士から知事へ。
その逆は意外と少ない。
代議士という言葉は衆議院議員のことを指すと一般的に言われているのでその意味で使えば、今の与党の中で知事を経験した代議士は僕しかいない。その意味では貴重と言えば貴重。自民党内での会合でも「知事経験者としてどうですか」と意見を求められることも時々ある。
世の中的には知事の方が殿様、一国一城の主だからいいのではないか、と思われているのか、「知事のほうがよかろうが」と言われることもままある。「よかろうが」と言う人に「いや、そやんでんでなかですよ」と言っても「んにゃんにゃ、そがんことはなか」と否定されることが多いので最近はなんとなくむにゃむにゃ答えるようにしているが、そうすると「やっぱりな、よかよか答えんでちゃよか」と言われる。
で、代議士になって4ヶ月経った今思っていることは、両方の仕事を経験することができてよかったということだ。代議士の仕事をしていても知事の気持ちというものもある程度わかるし、国でなければできないこともいろいろある中、地域や国のために仕事ができるという事はとてもやりがいがある。何より、政策を作っていく側の一員として働くことができるという誇りは大きい。
ただ大変なのは大変だ。知事の時も随分飛行機に乗ることが多かったが、それ以上に代議士になれば1週間に2回は必ず乗っている。
かつては秘書と一緒のことが多かったのが今は1人だし、車で送り迎えばかりではなく、筑肥線や唐津線、長崎本線などの鉄道を使った移動も以前よりは多い。
かつては数千人のスタッフと仕事してきたのが今は数人のスタッフで動いているわけだから当然違うと言えば違う。
「上場企業の社長から屋台のオヤジへ、だよ。」
ある方がそうおっしゃっていたがどちらが良い悪いと言うことではなく例えとしてよくわかる。
この「屋台のオヤジ」が面白いのだ。看板を掲げるのも仕入れをするのもメニュー考えるのも全部自分の責任で。店員さんと一緒に店を切り盛り。
お客さんと直にやり取りしながら時々褒められしばしば怒られ、そういう中でより良い店にしていくことを目指す。そうしているうちにその屋台のある地域が良くなることにもつながっていく。代議士の仕事とはそういうことではないかと思っている。
屋台のオヤジ、という言葉、いま、とても気に入っている。
屋号を考えてみたいな。
何かいい案、ないですか?
(2015年4月7日「週刊yasushi」より転載)