昨年の11月末、国会改革の必要性をブログで書いた。年末から、私なりに働きかけをしていたが、残念ながら今のところ、大きな動きにはなっていない。与野党の質問時間のバランスが少し変わったなどという話は枝葉末節であり、およそ国会改革の名に値しない。予算委員会の質疑が始まり、しばらく黙っているしかないかと思っていたが、先週末、沖縄で開催されたG1サミットに出席して、このままでは不味いとの思いを新たにした。
10年前に始まったG1は、若手の経営者、学者、政治家が、年に一度、一堂に集い、その時々の重要課題について議論を交わす会議として定着した。今年は、北朝鮮、AI、シェアリングエコノミー、仮想通貨などに参加者の興味が集中するだろうと思っていた(もちろん、実際に関心は高かった)が、意外にも国会改革に経営者や学者の関心が集まった。非効率的な国会の運営について、多くの参加者が強いフラストレーションを感じていたのだ。
参加者の熱意に押されるかたち、そのセッションに参加した23人の国会議員が国会改革へのコミットメントを約束したのも大きかった。 改めて、私の国会改革の概要を記す。
第一の柱は党首討論を原則として毎週夜8時に開催することだ。同時に、総理や閣僚を必要以上(もちろん、必要な時の国会答弁は閣僚の憲法上の義務だが)に国会に縛り付けてきた習慣も改めるべきだ。予算委員会の冒頭(総括的質疑)以外は、総理の委員会出席は不要だろう。また、全大臣を閣僚席に並べるのもいい加減に止めたほうがいいい。委員会の議論は、必要があれば議事録で確認すればいいだけだ。答弁のない大臣は各省に帰って仕事に専念すべだ。
閣僚の海外渡航は、原則的に認められるべきだ。私が閣僚であった時もそうだったが、外遊の制限は、国会状況を忖度した与党国対から求められるケースも少なくない。与野党国対のあうんの呼吸と言ってもいいかも知れない。考え方を根本的に改めるべきだ。特に外務大臣の問題は大きい。諸外国の外相が世界中を飛び回っている一方で、わが国の外相の外遊が国会中に制限されている現状は、国益を大きく損ねている。閣僚の外遊などで国会の会期が不足するのであれば、国会法を改正して通年国会を実現すればいい。
第二の柱は、自由投票の導入だ。国会議員になって間もなく19年になるが、自由投票は2009年の臓器移植法案のみ。私の場合、時に疑問を感じながらも、一度も造反せずに来たので、数千の採決(一年に100~200)で所属政党の判断に従ってきたことになる。
この際、はっきり言おう。国会で行われる全ての採決を憲法上規定されていない政党に依存している現状は、国会議員が実質的な意味で「全国民を代表」(憲法第43条)しているとは言い難い。
自由投票の導入には多くのメリットがある。事前審査の枠が外れるので与党議員を含め国会での議論は活性化することになり、所属政党に依存せずに判断を迫られる議員の質を高めることにもつながる。選挙の際、有権者が政治家の実績や理念・政策を判断する材料にもなるだろう。
第一歩を踏み出すのに適したテーマがある。間もなく国会に提出される受動喫煙防止法案だ。安全保障、社会保障などの基本政策の範疇に入らず、個人の価値観に関わるこうした問題こそ自由投票に付すべきだ。検討されている政府案は、諸外国と比較して規制が緩く、超党派の議員連盟から議員立法を提出する動きがある。両案を同時に採決に付し、国会議員が全国民の代表として慎重に判断して、投票するべきだ。自由投票は一つの党だけが行うと、その党だけが「バラバラ」と批判されるので、各党が同時に決めないと実現しにくいので、各党足並みを揃えるのが望ましい。ちなみに、英国では2006年の受動喫煙防止法の採決において自由投票が行われている。
これまでも経験してきたが、国会改革は与野党の利害が交錯するので実現は難しい。ただ、待ったなしの課題であるのも事実だ。超党派でアクションを起こすことで、国会改革の第一歩を踏み出したいと思う。