国際開発金融機関(MDBs)と国際通貨基金(IMF)は、今後3年間で4千億ドル以上の資金を動員する予定であると発表した。また、持続可能な開発目標(SDGs)の達成というかつてない規模の課題達成に資金を動員すべく、官民両セクターとこれまで以上に緊密に協力していくことを表明した。
今回の発表は、7月13~16日にエチオピアのアディスアベバで開かれる第3回開発資金国際会議に先立ち、国際開発金融機関(MDBs:アフリカ開発銀行、アジア開発銀行、欧州復興開発銀行、欧州投資銀行、米州開発銀行、世界銀行グループ)とIMFが行ったものである。
SDGsは極めて意欲的な目標である。したがって、政府開発援助(ODA)など既存のあらゆる資金「数十億ドル」を駆使して、官民両セクターや内外の資金「数兆ドル」を呼び込み、活用・動員するためには 、大きな意欲をもって臨むことが求められる。
年間1,350億ドルと推定されるODAは、特に最貧国・最脆弱国にとっては不可欠な資金源となっているが、さらに多くの資金が必要である。新興国・途上国の投資ニーズは、インフラ分野だけでも年間1.5兆ドルに上る。困難ではあるが、達成可能なSDGsの目標を実現していくためには、すべての関係者があらゆる資金を1ドルに至るまで確実に有効活用し、官民両セクターからの投資を促し拡大していくことが求められる。MDBsは、開発資金確保の原動力として、支援規模拡大のために各種の選択肢を検討している。
MDBsの開発資金は、2001年の500億ドルから2015年には1,270億ドルまで増加した。MDBsは毎年、加盟国の資金1ドルにつき、新たに2~5ドルの支援を確保することができる。また、MDBs自身の民間セクター直接投資はこの期間に4倍に増えた。民間セクター事業への直接投資の場合、1ドルの投資につき2~5ドルの民間投資が動員されている。今回の、向こう3年間で4千億ドル以上の動員に貢献するという発表には、各機関による財務基盤強化へのより一層の取り組みも含められている。
さらに、資金確保のための施策として、途上国が自国の資金活用に当たり、より中心的な役割を果たすための新たなアプローチやツールの開発が挙げられる。一例として、MDBsとIMFは、税制の評価・改善のための新たなツールキットの導入や、歳出効率を高めるための電子調達などの手段拡充に、各国と協力して取り組んでいる。
SDGs達成には、途上国に対する外国投資の拡大は不可欠であるが、そうした資金フローが結果に結び付くためには、当該国政府が、マクロ経済の安定を維持しながら主要な公共セクター・サービスを確実に実施し、成長を支えるビジネス環境を促進する明確な開発戦略を備える必要がある。MDBsとIMFは、政策的助言や技術協力を通じて、各国がこうした目標を達成するための経済政策を策定できるよう、MDBsは開発政策融資を通じ、またIMFはプログラムを通じて、各国が予算面や国際収支面のニーズを満たせるよう財政を支援していく。
民間セクターは、財、サービス、インフラ向けの資金を確保する上で、益々重要な役割を担っており、MDBsは、民間セクターのパートナーと様々な形で関わる準備を行っている。具体的には、投資家と投資機会の結び付け、より魅力的な投資案件の創出支援、現地の金融市場構築などが挙げられる。
MDBsは、既に実施中の幅広い取り組みに加え、保健や環境といった地球規模のニーズに応えるための革新的な金融アプローチの構築に向けて、その他の関係機関とも協力を進めている。
詳細、国際金融機関のコメントはプレスリリース「持続可能な開発目標の達成に向け国際金融機関が4千億ドルの動員を発表」をご覧ください。