香港デモ支援の集会で、歌手の頭上に赤いペンキ。それでも動じず「決して恐れず、引き下がりません」

メディアが捉えた動画から、男は集会の参加者に紛れていたとみられる。

台湾で行われた、政府への抗議活動が続く香港を支援する集会で、参加した香港の歌手・何韻詩(デニス・ホー)さんが、メディアの囲み取材中に赤いペンキをかけられる事態があった。

現地メディアによると、関わった男2人はその場で逮捕された。そのうち少なくとも1人は、中国と台湾の統一を主張する政治団体に所属していたという。

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ペンキをかけられた何韻詩(デニス・ホー)さん
Getty Images

■囲み取材中に...

台湾の中央通訊社によると、事件が起きたのは9月29日。逃亡犯条例の正式撤回が決まった後も、行政長官の辞任や民主主義選挙の実現などを求めてデモを続ける香港を支援する集会が台北市で開かれた。

香港の女性歌手、何韻詩(デニス・ホー)さんもこの集会に参加。参加者による行進が行われる前、メディアの囲み取材に応じた。

何さんが香港警察の鎮圧について「狂った状態だ」などと主張していた際、後ろから突然、黄色いヘルメットを被った男が何さんの頭の上から赤いペンキをかけたのだ。

メディアの取材中とあり、その瞬間がカメラに捉えられている。

何さんの髪の毛やジャケットにはべっとりとペンキがつけられている。何さんはしばらく押し黙った後、心配する人たちに「没事(大丈夫です)」と答えると、次のように語った。

「これは香港で社会運動に携わる人たちが置かれる状況を非常にわかりやすく表しています。毎日のようにこうした脅しに遭うのです。私たちはこうした脅迫や弾圧に対しても、決して恐れず、引き下がりません」

■集会参加者に紛れ近づいたか

中央通訊社によると、事件に関わったとして60代と50代の男2人がその場で逮捕された。このうち60代の男は中国と台湾の統一を主張する政治団体に所属しているという。

動画から、ペンキをかけた男は黒字で「反送中」と書かれたヘルメットを被っていたことがわかる。「反送中」は撤回が発表された香港の「逃亡犯条例」に反対するという意味で、男は集会の支援者に紛れていたと見られる。