中国本土への容疑者引渡しを可能にする「逃亡犯条例」の改正をめぐり香港政府の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は6月15日、記者会見し、改正案の審議を一時中断することを発表した。
早ければ20日にも可決する予定だったが、期限を設けずに延期した形。
「私たちは法の抜け穴を塞ぐ必要があります。したがって、現段階では法案を撤回することはできない」として、あくまで改正を目指す意向を示した。
■デモ参加者は不満
香港では、条例改正に反対する若者ら103万人(主催者発表)がデモに参加。改正の延期は、こうした人たちの行動が実を結んだ形と言える。
しかし、ハフポスト日本版がデモ参加者に取材したところ、行政長官の会見した内容に対して、強い言葉での非難が相次いで寄せられた。
取材に答えてくれたのは、延期が決まる前、Twitterで日本語を使って日本人に協力を呼びかけていた、大和さんとEnahさんの2人。いずれも香港出身のデモ参加者だ。
このうち、大和さんは、改正が「撤回」ではなく、あくまで延期に留まったことや、デモ活動を「暴動」としたことへの不満を爆発させた。
香港のトップの記者会見は、あまり有意義な話ではなかった。
僕たちが望んでいるのは廷期じゃなく撒回です。
撒回以外何も妥協しないです。
林鄭氏は記者会見中、6/12のデモ活動は衝突事故じゃなく「暴動」だと、もう一度言いました。
(デモの)現場にいる僕は、とても憤怒しました。今回の衝突で、警察は香港人に暴行を加えたり、記者の自由な取材を邪魔したりしましたが、これは絶対に許せません。
今回の衝突は、政府が市民の声を無視したことに起因します。
だから、明日(6月16日)のデモ活動も行きます!
そしてEnahさんは、林鄭行政長官が警察隊を擁護する発言をしたことに怒りの声を上げている。
記者会見で政府は改正案を延期すると発言し、 林鄭氏は警察の働きに感心する(ような言動をした)。
私達が求めるのは 撤回。 それ以外の案は認めない。
(林鄭行政長官は)警察の働きは「極めて妥当」、「任務を遂行したまで」、「武力を抑えている」(と発言した)。
マジでふざけるな。
香港はどうなっている? でも、一つだけは明白。
明日、金鐘(※香港の立法会がある地域でのデモに参加する、の意)。
撤回するまで私達は諦めない。
香港の民主活動家たちは、改正案の撤回や林鄭行政長官の辞任を求めて、デモ活動を続行する意向を明らかにしている。