奈良公園のシカに噛まれるなどのけがが増えているという。奈良県によると、2018年度のけが人は過去最高の209人(1月末現在)に上り、うち8割が外国人だった。
県奈良公園室によると、数字は公園内にある「シカ相談室」に連絡があったもの。
相談室が設置された2013年度のシカによる事故の発生件数は50件だったが、毎年増え続け、今年は最多の200件(209人)となった。
けが人のうち外国人が占める割合は78.5%で、こちらも毎年増え続けている。
国の天然記念物にも指定されている奈良公園のシカは、外国人観光客にも人気がある。人間を見ても逃げないため、毛並みを撫でたり一緒に写真を撮ったりしようと、「鹿せんべい」を手に近づく人も多い。
けがの大半は、打撲や消毒などで済む軽傷だが、中には入院を要する骨折などの大けがもある。けがをした状況を見ると、鹿せんべいを与えようとして手を噛まれてしまうケースが最も多い。
担当者に聞くと、「けがの状況は、いろいろです」と話す。
「エサでシカを近づけて一緒に写真を撮ろうとしたり、群がってくるシカに驚いてエサをあげられずに噛まれてしまったり、お子さんがエサを与えるところを撮影しようとして事故になったり……」
愛くるしい外見とは裏腹に、シカはあくまで野生動物。
担当者は「普段は穏やかな動物だが、イライラすれば何をするか分かりません。鹿せんべいは、焦らさず素早く与え、なくなったら『もうないよ』と両手を広げてアピールしてくださいね」と注意を呼びかけている。
公園内の看板などで、同様の注意喚起が英語や中国語でも掲示されている。