EU離脱(ブレグジット)の賛否を問う国民投票が6月23日に迫る中、サッカーの元イングランド代表デビッド・ベッカム氏が残留支持を表明したことで、残留派にとっては、土壇場の切り札になるかもしれない。
元イングランド代表主将ベッカム氏は、投票の結果に関わらず、イギリスは「常に偉大な国」であることに変わりはないと述べたが、自身のファンたちに対し残留支持に投票するよう呼びかけた。
私は自分の国を心から愛しています。23日の国民投票の結果がどう出ても、イギリスが偉大な国であり続けることに変わりはありません。それぞれの意見に正しい部分があり、それは国民投票の結果に関わらず、常に尊重されなければなりません。
若い頃所属していたマンチェスター・ユナイテッド時代のフットボールは最高でした。当時私が一緒にやってきた若きイギリスのフットボール選手たちの中心メンバーには、ライアン・ギグス、ポール・スコールズ、ニッキー・バット、ネヴィル兄弟がいました。それに加え、ベテランのガリー・パリスター、スティーヴ・ブルース、ポール・インスがいました。
チームは次々と優勝トロフィーを勝ち取りましたが、デンマークのゴールキーパー、ピーター・シュマイケルや、アイルランド人のロイ・キーンのリーダーシップ、フランス人のエリック・カントナのテクニックのおかげで、さらに優れたチームとしてより大きな成功をおさめることができました。
また、ヨーロッパや世界各国からのチームメートと共にマドリードやミラノやパリでプレーし、生活をする機会に恵まれました。そんな素晴らしいヨーロッパの都市やそこにいる熱心なファンたちが私や私の家族を歓迎してくれ、それぞれのユニークで刺激のある文化や人々に触れる機会に恵まれました。
私たちは活気にあふれ、つながりのある世界に住み、その世界の中で一国民としての強さを持っています。私たちの子供たち、そしてそのまた子供たちのために、世の中の諸問題に単独ではなく共に協力して立ち向かうべきです。
こうした理由で、私は残留を支持します。
デービッド・キャメロン氏はベッカム氏の支援を歓迎し、駆け込みの残留支持表明は「感動的だ」と述べた。
ベッカム氏の妻ヴィクトリアさんも、EU離脱派グループのポスターに、自身の欧州懐疑主義的な意見が引用された一件の後、夫の立場を支持するとツイートした。
イギリスのEU残留を支持するデビッドを、本当に誇りに思ってます
今日、イギリスポンドを維持するか廃止するかについて、20年前の私の発言を曲解して利用しようとした@leave.eu campaignに対してはっきり言っておくけど、その発言は今回の国民投票とは何の関係もないし、こんな形で間違った使い方をしてもらっては迷惑です。私は自分の国を信じているし、私の子供たちの未来には、私たちが一丸となって今よりも強くなっていると信じてます。だから私も残留支持です。
1996年、ヴィクトリア・ベッカムは「スペクテーター」紙に、「国民意識をとことん破壊している」欧州の役人たちを好ましく思っていないと語った。
離脱派のキャンペーン団体「Leave.EU」は、ボリス・ジョンソン前ロンドン市長やマイケル・ゴーヴ氏率いる公式の離脱派グループとは異なるものだが、21日にヴィクトリアの発言を利用してツイートした。
"欧州の官僚たちは国民意識や独自性というものをとことん破壊しています。私たちは各国の独自性を維持するべきです"――デビッドよ、女房の言うことを聞いておくべきだったね
Leave.EUのアーロン・バンクス氏はヴィクトリア・ベッカムに言った。「いい加減にしろよ、ヴィッキー」。
ベッカムのシュートみたいに、彼女は考えを曲げたー彼女のコメントを引用しただけ。いい加減にしろよ、ヴィッキー
EU離脱派の中心人物で保守党のマイケル・ゴーブ司法大臣は、ベッカム氏のニュースを聞き、元イングランド代表の選手たちを引き合いに応戦した。
「ソル・キャンベルは離脱支持だし、ジョン・バーンズももちろん同じです」と、BBCラジオ 4の番組「トゥデイ」で述べた。
デビッド・ベッカムは明言した。「我々は単独ではなく共に協力して世の中の諸問題に立ち向かうべきだ」
22日朝のITVで、キャメロン氏はこう述べた。「本日、デビッド・ベッカムから非常に感動的な声明が出ました。自身のお子さんたちについて語り、私にこう言いました。『ヨーロッパでは、ピッチに立たないかぎり勝てない』」
デビッド・ベッカム氏(右)とキャメロン首相
「まさにその通りです。私は首相としてそのことを懸念しています。テーブルを囲んでセキュリティー問題、安全対策、テロ対策、地球温暖化、その他もろもろのことについて取り決めているのです」
「私たちがいなくなったとしても、欧州各国は引き続き集まって私たちに関わる取り決めを行います。しかし、彼らは私たちに関わる取り決めを、私たちの居ない部屋で決めることになるのです。それはイギリスにとって良くないことだと思います」
ハフポストUK版より翻訳・加筆しました。
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