国産の人工衛星「だいち2号」が、5月24日に宇宙航空研究開発機構(JAXA)の種子島宇宙センターから打ち上げられる。一体どんな人工衛星なのか、詳しく見てみよう。
「だいち2号」は、2006年から2011年まで東日本大震災で被災地を観測し、地図作製や地殻変動の把握など幅広い分野で利用されてきた地表観測用の人工衛星「だいち」の後継機だ。
H2Aロケット24号機から打ち上げられる際には、一辺が3〜4メートルと比較的コンパクトだが、宇宙空間では長さ10メートルのアンテナやソーラーパネル2枚を展開する。地球の628キロ上空を1時間40分で1周して、各地を観測できる。
JAXAの公式サイトによると、「だいち2号」には以下の4つの特徴があるという。
(1)防災機関における広域かつ詳細な被災地の情報把握
(2)国土情報の継続的な蓄積・更新
(3)農作地の面積把握の効率化
(4)CO2吸収源となる森林の観測を通じた地球温暖化対策
(JAXA『 陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)』)
■性能は「世界最高の水準」
「だいち」では地表観測用に光学センサーとレーダーの両方を搭載していたため4トン級の大型衛星となったが、後継機は開発期間を短縮するために2トン級の中型衛星とした。今回の「だいち2号」ではレーダーのみを搭載。光学センサーは、今後打ち上げられる予定の「だいち3号」が搭載する予定だ。
「だいち2号」は板状のレーダー「PALSAR-2」を備えており、白黒ではあるものの光学センサーでは観測できない雲のかかった地域や夜間でも観測が可能だ。PALSAR-2は「だいち」に搭載されたレーダー「PALSAR」の機能を向上させたもので、判別できる物体の大きさは「だいち」の10メートルに比べて「だいち2号」では1〜3メートルと、より高精度になった。さら「PALSAR-2」は、観測可能領域をPALSARの870〜2320キロと、3倍程度にまで大幅に拡大している。
MSN産経ニュースによると、JAXAの鈴木新一プロジェクトマネジャーは「性能は世界最高の水準」と胸を張っているという。
「だいち」の開発から関わっているJAXAの鈴木新一プロジェクトマネジャーは「これまでの経験を2号に反映できた。性能は世界最高の水準だ。打ち上げや運用の成功を目指してチーム一丸で頑張る」と意気込む。
(MSN産経ニュース『衛星「だいち2号」公開 地形、災害状況を観測』2014/03/29)
東北大学の「雷神2」など、重さ30〜50キロほどの超小型衛星4機も同時にH2Aロケットで打ち上げられる予定。打ち上げ時間帯は5月24日の12時05分~12時20分を予定しており、ニコニコ生放送でも中継される。
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