14歳で父に捨てられた男性が「インターネットのお父さん」に

”父さんに教えてもらいたかったこと”がYouTubeで大人気に。2カ月で230万以上がフォローしています。
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YouTubeチャンネルを開設してからわずか2カ月で230万以上がフォローし、「インターネットのお父さん」として人気を集めている男性がいる。 

アメリカ・ワシントン州のシアトルに住むロブ・ケニーさんは4月、「Dad how do I?(お父さん、どうやってやるの?)」という名前のYouTubeチャンネルを始めた。

投稿しているのは「棚の作り方」や「ヒゲの剃り方」「詰まったシンクの直し方」など、生活に役立つスキルだ。

<詰まったシンクの直し方を教えるケニーさん>

 

シンプルでわかりやすい言葉で語りかけるケニーさん。彼が教えていることは、自分自身が子どもの頃、父に教えて欲しかったことだという。

■14歳で親が去った

ケニーさんの両親は、ケニーさんが子どもの時に離婚した。親権者になったのは父親だったが、父は子育てには興味がなかった。

1978年10月、父親は「もう子どもはいらない」と子ども達に告げたとケニーさんはハフポストUS版に語る。当時ケニーさんは14歳で、皮肉にもその日はケニーさんの妹の9歳の誕生日だった。

「それはあまりに無慈悲な言葉でした」とケニーさんは振り返る。「何もかもを信じられなくなったのを覚えています」

父親がいなくなり、ケニーさんたちは自力で生きていかなければならなくなった。

ケニーさんは8人きょうだい。妹のアンジーさんは、当時27歳だった姉のメアリーさんと住むことになった。16歳と17歳だった兄のドンさんとジョーさんは、父親から資金援助を受けてアパートを借りた。そしてケニーさんは、当時結婚したばかりだった長兄のリックさんと妻カレンさんの家に引き取られた。

生活は大変だったが、リックさんが父親のように面倒を見てくれた

■言ってもらいたかった励ましの言葉を誰かに

父親が去った時、自分が親になった時には、子どもには同じような思いはさせないとケニーさんは決心したという。

「私は自分の子どもには同じことをしないと決意しました。結婚して子どもを育てるのは大変です。しかし、なんとか乗り越える方法を見つけなければいけない。それは自分の目標でもありました」と、ケニーさんはABCに語る。

その後、ケニーさんは90年代に結婚して2人の子どもの親になった。ふたりとも素晴らしい大人に成長したとケニーさんはと誇らしげにハフポストUS版に話す。

YouTubeのアイデアを思いついたのは、長女のクリスティーンさんから生活に必要なアドバイスを色々聞かれたことがきっかけだったという。

また、自分と同じような環境で育っている子ども達に向けてYouTubeで発信したいという気持ちもあった。

 「機会をもらえるのであれば、自分が子どもの時に言って欲しかった励ましの言葉を誰かに伝えたいと思ったんです」と、ハフポストUS版に話す。 

(Instagram:スキルを教える動画だけでなく、絵本を読んだり励ましの言葉を伝える動画も投稿している) 

■コメントがコミュニティを作っている

ネクタイの結び方を教える動画は、他にもたくさん投稿されている。

それでもケニーさんの動画が多くの人たちを惹きつけているのは、スクリーン越しに感じられる温かみが理由かもしれない。

ケニーさんは「Hey Kids!(ヘイ、子どもたち!)」と、まるで自宅で我が子に声をかけるように呼びかけてから、動画をスタートさせる。

一つ一つの動画には「自分が子どもの時に、知りたかったことです」「ありがとう」といった、たくさんの温かいコメントが残されている。

コメントする人たちは年齢性別を問わず様々で、セクシュアルマイノリティの人たちからのコメントも少なくない。   

例えばヒゲの剃り方を伝える動画には、幾人ものトランスジェンダーの人たちがコメントしており、そのうちの1人はこう綴っている。

「私の父は、私がトランスであることをカミングアウトしてから、父であることをやめてしまいました。だから誰にもヒゲの剃り方を教えてもらえなかった」 

 <ヒゲの剃り方を教えるケニーさん>

 

また、ケニーさんの動画を見た人がさらにアドバイスを付け加えて、会話が発生することもある。コメント欄も含めて、ケニーさんのYouTubeチャンネルがコミュニティのようになっている。

こういったコメントを読むと、思わず泣き出しそうになるとケニーさんは話す

「本当にどこから始めたらいいかわからないくらい、たくさんコメントが残されています」

「動画を見てくれる人たちが作るコミュニティが、私は本当に大好きです。彼らがお互いをサポートしあっているのを見ると、本当に勇気付けられます」

なんとなく受け入れてきた日常の中のできごと。本当はモヤモヤ、イライラしている…ということはありませんか?「お盆にパートナーの実家に帰る?帰らない?」「満員電車に乗ってまで出社する必要って?」「東京に住み続ける意味あるのかな?」今日の小さな気づきから、新しい明日が生まれるはず。日頃思っていたことを「#Rethinkしよう」で声に出してみませんか。