黒人男性ジョージ・フロイドさんの死亡事件への抗議活動が、アメリカ全土で続いている。
大勢の逮捕者が出ている一方で、ワシントンD.C.では催涙ガスで攻撃され追い詰められた60人以上のデモ参加者を、一人の男性が自宅に招き入れて助けた。
大勢のデモ参加者を逮捕から救ったのは、D.C.に住むラウル・ドゥベイさんだ。
デモ参加者たちは6月1日、午後7時の外出禁止時間を過ぎた後に路上で警察に追い込まれて身動きが取れない状態になった。
「デモ参加者たちが行く場所を失って身動きが取れない状態になっている」
しばらくすると、警察が前に押し寄せてきて盾でデモ参加者たちを押し、催涙ガスをかけたとワシントンポストは伝える。
ドゥベイさんはその時、自宅の前にいた。デモ参加者が逃げてくる様子を「人間の津波のようでした」とドゥベイさんはワシントンポストに振り返る。「私は手すりに捕まって『家に入って!家に入って!』と叫びました」
ドゥベイさんがドアを開けると、参加者たちがなだれ込んできた。
逃げ込んだ参加者の1人は、ドゥベイさんにもらった牛乳と重曹水を使って、催涙ガスで攻撃された目を洗い流したとNBCに話す。
さらに、参加者たちに家の外に出てくるよう「警察が何度か説得を試みた」と参加者の一人が地元のニュース局WUSA9に語った。そして説得しようした警察をドゥベイさんが追い払ったとTwitterで報告している。
「平和的なデモ参加者を、警察が催涙ガスで攻撃してきた。私たちを家にいれてくれた男性の名前はラウル・ドゥベイさん。彼は、万が一我々が家に押し入ったと警察が主張した場合に備えて、私たちに名刺をくれた」
ドゥベイさん自身も、警察からの攻撃を受けたという。
別の参加者がTwitterに投稿した動画の中で「警察が、窓から催涙ガスをうってきた」そして「夕方に家に入ろうして約15秒間壁に押し付けられた」とドゥベイさんは説明している。
「どうやって家に入ったのですか?」と尋ねる参加者に、「私は黒人じゃないからね」とドゥベイさんは答えている。
「ラウルさんは自宅のある場所で何時間も警察に追い込まれていた62人のDCデモ参加者に、助けの手を差し伸べてくれました。一晩過ごす場所を提供し、食べ物や水を分け、携帯を充電させてくれた。そして何より、安全を守ってくれました」
ドゥベイさんの家で一晩過ごしたデモ参加者たちは、外出禁止時間が終わる午前6時に彼の家を出た。
「デモ参加者を迎え入れたラウル・ドゥベイさんが、デモ参加者と支持者に囲まれて拍手されています」
息子には彼らのような人間になってほしい
多くの人が彼の行動を讃える一方で、ドゥベイさんは特別なことをしたとは思っていないようだ。「多くの人が同じようにドアを開けただろうと思います」とWUSA9に語る。
彼はまた、アメリカは今「路頭に迷っていてもろい状態にあるが、デモ参加者たち以外に何かしようとする人はいないから、彼らを助けたかった」と述べた。
「(参加者たちは)愛の気持ちに突き動かされて行動しています。愛に動かされている時、国はこのような状態になります」
「彼らは現実的で、問題解決したいと願い、恐れをシェアし、恐怖を感じ、そしてお互い励まし合っています。彼らこそ、私が知るアメリカ人です。国のリーダーたちがこの家で起きたのと同じことを一致団結してやれば、アメリカはもっといい国になると思います」
ドゥベイさんはまた、逃げ込んだデモ参加者こそがヒーローだと語った。
「13歳の息子には、彼らのような素晴らしい人間に育ってほしいと思います」
「アメリカは、彼らのような人たちを今まで以上に必要としています」
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。