経常収支の赤字拡大が止まらない。財務省が10日発表した1月の国際収支状況(速報)は経常収支の赤字が1兆5890億円となり、現在の算出基準となった1985年以降で最大だった。年度を通して赤字に転落する懸念も広がりそうで、長期金利の指標となる10年最長期国債利回りの動向にも今後、注目が集まる可能性がある。
経常収支の赤字は4カ月連続。1月は赤字幅が前年同月の1兆2406億円から広がった。東日本大震災以降、高水準の燃料輸入が続いたほか、正月休みで日本から海外への輸出が伸びず、貿易収支の赤字が2兆3454億円に膨らんだことが響いた。
ロイターが民間調査期間を対象に行った事前調査では、予測中央値が1兆4109億円で、今回の赤字はそれを上回った。
財務省によると、ドルベースで過去に算出した基準の異なる参考統計では、第2次オイルショック前後の1979年度と80年度にそれぞれ3兆2000億円程度、1兆5000億円程度と、年度ベースで経常収支が赤字になったが、現行基準では例がない。
国の借金が1000兆円を超える厳しい財政状況でも、これまでは潤沢な個人金融資産と経常収支の黒字で乗り切ってきただけに、市場で赤字転落の思惑が強まれば、国債売りを誘発しかねない情勢だ。
今後の動向について、財務省幹部は「内外の経済情勢や為替の動向などを注視する」としている。
[東京 10日 ロイター]
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