春日部市と『クレヨンしんちゃん』と東武鉄道

車内は、ラッピングは黄色をベースカラーに用い、その中に野原一家ほか、「かすかべ防衛隊」が鼓笛隊(こてきたい)となったオリジナルデザインで...
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■50050系『東武鉄道クレヨンしんちゃんラッピングトレイン』登場!!

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報道公開では、着ぐるみのしんちゃん(野原しんのすけ)が駆けつけた。

東武鉄道は2016年11月3日から約半年間の予定で、『東武鉄道クレヨンしんちゃんラッピングトレイン』(50050系51055編成)が久喜・南栗橋―中央林間間で運行されている。「クレヨンしんちゃん25周年記念企画 オラのまち春日部にくれば~」の一環で、埼玉県、春日部市と連携した。

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10号車の車体側面。

ラッピングは黄色をベースカラーに用い、その中に野原一家ほか、「かすかべ防衛隊」が鼓笛隊(こてきたい)となったオリジナルデザインで、音符がアクセントとなり、楽しさがあふれている。また、先頭車の前面及び、一部車両の側面に25周年記念のロゴが貼付された。

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50050系の車内。当初、一般席のシートモケットは藤色だった。

車内の広告は『クレヨンしんちゃん』一色に染まり、荷棚上は映画全24作品を紹介している。

また、同日より朝日バスの「春バス」(コミュニティバス)車両3台を『クレヨンしんちゃんラッピングバス』として運行を開始した。

■1町4村の合併で春日部市が誕生

『クレヨンしんちゃん』の舞台になった春日部市は、1954年7月1日、南埼玉郡春日部町、武里村、豊春村、北葛飾郡幸松村、豊野村の合併により誕生。当時から鉄道は東武のみで、6駅(一ノ割、春日部、武里、豊春、藤の牛島、八木崎。五十音順)を有していた。

1966年9月1日、車両基地の新設に伴い、伊勢崎線春日部―姫宮間に北春日部駅が開業。同時に営団地下鉄(現・東京メトロ)日比谷線との相互直通運転区間も北春日部まで延長された(現在、日比谷線との相互直通運転は日光線南栗橋まで延伸)。武里団地の開設も相まって春日部市の人口が増加し、東京や大宮方面のベッドタウンを担うようになったほか、機械や食品などの工場建設も進められた。

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しんちゃんは春日部の顔。

時代が平成に変わり、1990年8月から『漫画アクション』誌(双葉社刊)にて『クレヨンしんちゃん』の連載を開始。わずか2年後の1992年4月からテレビ朝日系列でアニメ化された。当初、視聴率は4%と振るわなかったが、徐々に人気を得て、1993年1月に初めて"「20%」という名の大台"を突破した。同年春より劇場版(映画)が公開されてからは、年1回ペースで制作が続けられている。

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特急スペーシアの春日部停車を宣伝する手書きのポスター。

一方、東武は日光線系統の有料急行(現・特急)を春日部に停車し、ほかの優等列車は通過していたが、1999年3月16日より特急スペーシアの春日部停車を下り9本、上り10本で実施。併せて特急料金も均一制から距離制に変更されたほか、急行料金の見直しも行なわれた。その後、東武は特急スペーシア全列車の春日部停車を決め、通勤通学客の需要に応えた。現在、春日部を通過する旅客列車は特急〈りょうもう〉のみである。

■野原一家、"現実の世界"で春日部市民になる

21世紀に入ると、東武は2003年3月19日のダイヤ改正で、営団地下鉄半蔵門線、東京急行電鉄田園都市線との相互直通運転を開始。通勤準急と区間準急(現在は急行と準急)の2つを設定し、春日部―大手町・渋谷間などが乗り換えなしで結ばれた。当初は日中20分間隔というダイヤだったが、現在は10分間隔を基本としており、利便性が大幅に向上された。

2004年に入ると、春日部市は市制50周年事業の一環として、4月6日、『クレヨンしんちゃん』の野原一家に特別住民票を交付し、全国から問い合わせが殺到するほどの反響を呼んだ。埼玉県でアニメのキャラクターに特別住民票が公布されたのは、新座市の『鉄腕アトム』以来だという。

翌2005年10月1日、春日部市と北葛飾郡庄和町の合併により、「新・春日部市」が誕生。これに伴い、野田線南桜井駅が春日部市の駅となった。

庄和町との合併により、戦後は宝珠花村の時代から続き、1991年には国の選択無形民俗文化財に指定された大凧揚げ祭り(毎年5月3・5日に、宝珠花橋下流の江戸川河川敷で開催)を春日部市が引き継ぐことになった。

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2014年に報道公開された、大凧揚げ祭りヘッドマーク。

春日部市は大凧揚げ祭りを広くPRするため、東武鉄道と連携し、2013年から50050系(久喜・南栗橋―中央林間間で運行)と野田線車両の各1編成に大凧揚げ祭りヘッドマークの掲出、主要駅に「ミニ大凧」の掲示をそれぞれ開始。今や春の風物詩として定着した感がある。

■埼玉県は"アニメの埼玉"を目指す

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『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』のラッピングバス。

蛇足ながら、『クレヨンしんちゃん』以降、埼玉県内を舞台にしたアニメが増え、埼玉県はアニメを軸とした観光政策を進めている。そのひとつとして、2013年からアニ玉祭(アニメ・マンガまつりin埼玉)をソニックシティ(大宮駅下車)で開催し、「アニメの聖地」としての地位確立、観光客の誘致、市町村のまちおこしなどを図っている。