2018年にレイプ容疑で起訴されていた16歳の容疑者に対し、「良家の出身」で「名門校の生徒」であることを理由に制裁措置を減免した米ニュージャージー州の裁判官が辞任した。NY Timesが報じた。
2018年のジェームズ・トロイアーノ裁判官の判決の詳細が明らかになった後、州の議員などが同裁判官の辞任を求めていた。同裁判で検察側は、16歳の少女をハウス・パーティーでレイプし、その様子を録画し友人に拡散したとして起訴された16歳の少年を大人として裁判にかけられるべきだ、と求めた。
少年はビデオを送る際「最初のセックスはレイプ」と書き添えたという。
検察側の求めに対しトロイアーノ裁判官は、「彼は良家出身で名門校の優等生だから」という理由で却下した。
そして裁判官は、容疑者に罪を科せる事がどれだけ少年の人生に「破壊的な影響」を及ぼすかを理解しているか?と被害者とその家族に問いかけたという。
また同裁判官は、事件を「レイプ」と分類される事にも疑問を示し、複数の男性に廃墟地で銃を突きつけられ脅されるような「従来」のレイプと今回の事件は違う、と話したという。
裁判所は6月にトロイアーノ裁判官の判決を覆し、被告の家族と学校の成績を基にした制裁措置の減免を強く非難した。
ニュージャージー州の最高裁判所は他にも、2016年にレイプの被害を訴える女性に対して「足を閉じましたか」と質問し、性的暴行の罪を回避させようとしたジョン・ルッソー裁判官に対して、「辞任を含む処罰」を検討し、手続きを進めているという。
また、12歳の少女に性的暴行をしたとされる16歳の少年を大人として裁判にかけることに対し、「そこまで悪質ではない」として拒否したマルシア・シルバ裁判官にも辞任を求める声が高まっている。
裁判長のスチュアート・ラブナー氏は、最近の複数の出来事を受け、性的暴行、家庭内暴行、暗黙の偏見や多様性に関する「改良された裁判官のための研修プログラム」の実施を声明で語った。
「性的暴行は暴力的行為であり、被害者を怯えさせ、傷つけ、恐れを誘発するものです」「最も深刻な問題であって、責任が被害者ではなく加害者のみにあることを疑う余地はない」とラブナー氏は語った。
「被害者に、裁判で更なる被害を与えないよう、全ての努力をする必要があります」とラブナー裁判官は語り、この研修は「我々の司法システムの独立性と誠実性への信頼を確保する」ように作成されているという。
ハフポストUS版の記事を翻訳、編集しました。