【はじめに】
個人の恋愛・結婚行動において希望が叶わないケースにおける大きな原因のひとつは
「目的と行動が一致していない」である。
例えば、野球をする男性が大好き、という女性がサッカー部の練習に応援にいくことは恋愛・結婚行動から考えるならば、あまり目的適合的ではないだろう。
ということは、結婚を希望する男女が「目的にあった行動をしないから出逢えない壁」をクリアしやすくなる情報が提供されるなら、「それは妄想だから、叶わない」といった恋愛行動・結婚行動が起こりにくくなるはずである。
そこで本稿では、日本全国の男性の「ある意識」を俯瞰し、女性が「私の希望にあった男性」に出会いやすくなるかもしれない情報を提供してみたい。
【生まれ育った地を離れる、その前に】
パートナーとなる相手への希望は言い出したらきりがないが、「専業主婦希望」であるか「結婚しても働きたい希望」であるかは、女性にとって結婚における希望条件としては小さなものではないのではないだろうか。
高校卒業後、地方から男性のみならず多くの女性が都会に流れてくる状況が続いている。筆者が暮らす東京都は全国最低の出生率を続けているものの、地方から主に高校卒業を機に転居してくる若い男女で溢れている。週末の渋谷などは時間によっては溢れかえる若い男女で移動するのも大変といった具合である。
地方からこちらへくる若い女性たちは仕事を求めていたり、育ったエリアにはない刺激や生活の変化を求めていたり、学びの場などの成長の機会の多さを求めていたり、まだみぬパートナーを求めていたり、「生まれた地から出たい」その理由は様々である。
もし生まれ育ったエリアから出ることを考える場合、そしてその移動した先での出逢いを少なからず彼女たちが希望しているのであれば、自らが育ったエリアの男性と比べてみて、移動先の男性が結婚後の妻の就業についてどういう価値観の状況なのか、その差を知っておくことは後々「こんなはずではなかったのに」とならないためには無駄にはならないだろう。
【理想の結婚は「夫は仕事、妻は家庭」とする男性の割合ランキング】
では早速、「夫は仕事、妻は家庭」が理想と考える男性の割合が多い県を見てみよう(図表1)。全国平均より割合が高いエリアは、47都道府県中21エリアであった。
この図表で自分の生まれた地よりも上位エリアへの移動であればあるほど、専業主婦希望の女性にはパートナー探しという視点で見るならば、検討に値するエリア、ということが出来る。
専業主婦希望の女性がエリアを越えて探すのであれば、最も検討の余地がありそうなエリアは福岡県、ということになる。
データからわかるのは、上位10エリアのうち9エリアが西日本に集中している。西日本に伝統的性別役割意識の強い男性が多いようである。
では、結婚や出産後も働きたい女性については、もし自分の生まれた地を離れて考えるなら、どのエリアの男性から探すことがよさそう、となるだろうか。上のランキングを「割合が少ない順」に並べかえてみよう(図表2)。
伝統的役割分担が理想の男性が平均より少ないエリア(全26エリア中)上位10エリアをみると、東日本・西日本まんべんなく散らばっているように見える。ただし、東北エリアは「女性に働いて欲しい」もしくは「専業主婦でいて欲しくはない」男性が多いようである。
東北6県のうち、宮城県をのぞく東北3県が上位10エリア入り(20位内に4県ランクイン)をしているからである。
【夫は仕事、妻は家庭が理想の男性割合データからわかること:印象論だけでのエリア移動はNG】
図表からは
「大都会は女性の仕事が沢山ありそうだから、結婚後も働けるかも」
「都会の男性のほうが、女性が結婚後も働くことに理解がありそう」
といった、未婚女性がともすると抱きがちなイメージだけで、自らの育った地と比較もせずにほかのエリアの男性に期待してはいけないことがわかる。
3大都市と言われる東京、大阪、名古屋のある東京都、大阪府、愛知県をみると、愛知県はむしろ「専業主婦が理想」の男性割合でベスト5にランクインしている、専業主婦理想男性の多いエリアである。
つまり「大都会のあるエリアの男性のほうが、女性が結婚後も働くことに理解がありそう」は、愛知県に関してはあてはまらない。
大阪府も「専業主婦が理想」男性割合14位で、愛知県・大阪府の両者とも全国平均より多くの男性が専業主婦を理想としている。
「カップルのあり方で最も最先端をいくのでは」というイメージが強そうな東京都も、全国平均よりは専業主婦が理想の男性は少ないものの、少ない順で上位10エリア入りはしていないことに注目したい。
その他をみても、若い女性にお洒落で先進的なイメージのある大都市のある神奈川県(横浜市、川崎市)・兵庫県(神戸市)・京都府(京都市)・福岡県(福岡市)・広島県(広島市)など、2015年の国勢調査で「法定人口トップ10入り」した大都市のあるエリアのほとんど(北海道・埼玉県以外)が全国平均よりも専業主婦を理想とする男性割合が多い方にランクインしているのである。
こうしてみると、「都会の男性のほうが、女性が結婚後も働くことに理解がありそう」とおもっているのであれば、もしかすると考え直した方がいいのかもしれない。
「お洒落な都会の街で、女性が働くことに理解がある夫と共働き生活」
勿論、男性側の理想にあわせてばかりで結婚が進むわけではない。だとしても、実態はむしろ「お洒落な都会の街で、女性が働くことに理解がある夫と共働き生活」の逆になりそうなデータにも見える。女性側の理想が最終的には通るとしても、「大都市で働くお洒落な妻計画」は想像するほど実現が楽ではないようである。
「一生に一度のことだから、慎重に決めたい」と思いつつ、「思い込み」であまり目的に合わない行動をしてしまっていないか、「行動の根拠となり得るデータをもとに」考える。
人生において大切な目標を「ただの夢」に終わらせず、より確実に達成していくためにはとても大切なことである。
(続編:47都道府県価値観ランキング(2)のリリースをお待ち下さい)
関連レポート
(2017年12月11日「研究員の眼」より転載)
株式会社ニッセイ基礎研究所
生活研究部 研究員